SAO編−白百合の刃−
SAO31-スズナの涙
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その娘が消えたくないって、必死に叫んでいるんだから、消すわけにはいかないわね。
「ドウセツお母様」
今度はドウセツに寄って抱きしめてもらった。
「今から当分眠る形になるわ。それまでの間、待ってくれるわね」
「はい」
「よろしい」
ドウセツはスズナを撫でるとエンターキーをクリックする。
スズナの体が眩い光に覆われていく、優しく綺麗な光を……。
「スズナ? 大丈夫?」
「い、いえ……少し、眠気がしてきましただけです」
プログラムを圧縮すると言うことは、我々でいう睡眠。だけどスズナは誰かに起こすまで眠り続ける。解凍という目覚ましをしなければスズナが起きないだろう。
それがあと何日、何年かかるかわからないけど、私達が必ず起こしに帰ってくる。
「キリカお母様……」
「ん?」
「ドウセツお母様……」
「なに?」
スズナはドウセツに体を寄せつつ、穏やかな表情を見せる。
「少し……眠いので、寝ていいでしょうか?」
ドウセツは頭を優しく撫でた後、私はおでこに口づけをした。
「今日は疲れちゃったね。うん、スズナはゆっくり寝てもいいわよ。後で起こしてあげるから」
「はい、キリカお母様」
「少し時間はかかるけど、必ず起こすから……それまで、いい夢を見なさいよ、スズナ」
「はい……ドウセツお母様」
スズナはニコッと微笑む。
「お休み、スズナ」
「お休みなさい……スズナ」
そしてスズナは安らぎの笑みを浮かべながらドウセツの膝に体を寝かせ、そっと……目を閉じ、眠りに入った。
今からスズナは長くて短い間の夢を見るのだろう。いつ起きるのかわからない、私が現実世界へ帰るまで眠り続ける。それはある意味死と同じである。
だが、けして悪いことではない。眠るということは、また明日を迎えることでもある。スズナは目を覚ます。それには私達が現実世界へ帰らなければならない。
生きよう。
生きて、スズナを起こそう。
だから、それまで良い夢を見なさい。必ず起こしに帰ってくるから。
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