暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第四十話 今度こそ、違うよって
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
した。ユイが再びホロキーボードに手をかざすと、フロー図の『保存』が再び濃くなった。
「つまり、おじちゃんの障害は『保存』によるものではなく、『再生』によるものなんです。簡単に言いますと、『覚えてるけど思い出せない』という状態なんですね」
 フロー図の『再生』の文字が薄くなり、赤いばってんが付けられた。
「つまりですね。おじちゃんの記憶は『再生』のトレーニングによって改善が見込めるかもしれないんです。昨日のフラッシュバックもそれを証明しています。つまり、全て忘れてしまったわけではなく、記憶が戻ることもあり得ます」

 ユイが手を下ろすと、ウィンドウが消滅した。ミズキはぽんぽんとユイの頭を叩きながら彼女を褒めた。
「ありがとな、ユイ坊。そいで、具体的にトレーニングっつーのは何をすりゃーいいんだ?」
「おじちゃんがいっつもやっていることですよ。毎日の日記を付け、忘れた時に思い出す手がかりにする。この繰り返しによって『再生』は鍛えられます」
「ん? それじゃ、俺はいままでだってずっと『再生』のトレーニングをしてたことになるんじゃねぇか? なんでよくならねぇんだ?」
「心因性の記憶障害が『再生』機能の回復を阻害していた可能性がありますね。そちらのほうが回復した今、おじちゃんを縛るものはありません。少しずつ、よくなっていくといいですね」
「おう、そうか。そりゃ楽しみだ」
 ミズキはいつもどおりの大声で笑った。

 ――事故が引き起こしたのは、悪いことばかりじゃなかった。俺がこんなふうに笑い合えるのも、あの事故があったからだ。
 ミズキはマルバの楽天的思考がうつったかのように、初めて事故のことを前向きに考えた。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ