使徒大戦
第二章
2.02
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ケイジに搬送され、固定されていた初号機は、コア以外のすべての部分が活動を停止していた。仮死状態と言ってよいだろう。
弐号機のほうはコアさえも完全に停止している。それも無理はない。ロンギヌスの槍によってコアの中心を射抜かれ、砕かれてしまっていたのだから。
パイロットは行方不明である。
初号機のほうは、ロンギヌスの槍がエントリープラグを削り取って貫通していた。パイロットが座っていればパイロットの半身が運命をともにしていたはずである。しかしプラグ内に死体も、血痕すらない。コアが無事なので、第一四使徒会戦時と同様に、初号機に取り込まれているのだろうという予測がされていた。
一方、弐号機のほうはコアも完全に死んでいる。槍がコアを砕いた瞬間までアスカがプラグ内に存在していたことがボイスレコーダーから確認された。前後の状況から、取り込まれた可能性は低い。仮にそうだとしてもコアが停止している以上、生存は絶望視されていた──。
初号機のコアの活動が活発化したという報告を受けて、葛城ミサトはケイジに急いだ。それは前回のサルベージ失敗後にシンジが出現したときの反応と酷似していたからだ。
ミサトがケイジにたどり着いたときにはもう、初号機のコアから何かが出てこようとしてるところだった。
頭からゆっくりと人型が浮かび上がっていく。あいまいだった輪郭が整っていくと、それは端正な少年の容貌になった。夢見るように瞳を閉じている。続けて、上半身から下半身へと。衣服をまとわない肢体は、男性というにはまだまだ未完成で、か細くあやうい魅力を持っていた。
我しらずミサトは顔を赤らめる。どうしてだろう、シンジの裸を見るのは初めてではないはずなのに、何故か照れてしまう。なんとなく、今までのシンジと違うような気がするのだ。造形自体は変わっていないはずなのに。
ひた。
素足がブリッジを踏む。
少年が瞳をあける。男性としては長めのまつげに彩られた、茶色の瞳が自分をみつめたとき、ミサトははっきりと自分の鼓動がペースを乱したのを感じた。
──いやだ、わたし、なんで? そういう趣味はないはずなのに。
「ミサトさん、ただいま」
落ち着いた声が耳に心地よい。そんなところも、やはり変わったという印象を強める。
「あ……お、おかえりなさい」
「とりあえず」
シンジは苦笑を浮かべて。
「大きめのタオルかシーツでかまいませんので、二人分お願いします。さすがに恥ずかしいので……」
「あ、うん……持ってきて!」
ミサトが指示を下すまでもなく、整備班が大きめの清潔なリネンを数枚運んできた。そのうちの一枚を腰に巻き、シンジはもう一枚を手にとってコアにかぶせた。
「ふたりぶんって……シンジくん?」
「ボク以外に見せたくはないですからね」
シンジの行動を待って
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