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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
TF・T「覇王、月音!」
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 振り返るとそこにはバンダナを巻いた美術教師、石神瞳が立っていた。飄々とした態度に月音の眉が一瞬跳ね上がる。


「言い逃れは無意味。この者から漂う微かな妖気と貴殿の妖気が一致している。石神教諭、貴殿がこの事件の犯人よ」


「おいおい、私は教師だよ。生徒にそんなことをするわけがないじゃな――」


 爽やかな笑みを浮かべて弁解する石神の顔面に月音の拳が突き刺さった。軌道を直線から直角に捻じ曲げ、突き刺した拳を振り下ろし、石神を床に叩きつける。


 衝撃が走り、床が放射状に砕けて小さなクレータを形成した。


 無言で気絶した石神を見下す月音。


「言葉なんぞ不要。拳で騙るのみよ」


 石神が気絶したためか、妖術が解けて石化から解放された女生徒の肩に、そっとブレザーを掛けた。





   †                    †                  †





【第三巻より九曜編】


 どの学園にも生徒会という組織が存在する。それはこの陽海学園も例外ではない。陽海学園における生徒会は公安委員会――略して公安がそれに当たる。


 公安は日本妖怪を中心に構成された学園警察であり、トップである九曜の思想を正義としている。そのため九曜の意に反する生徒は問答無用で粛清されるため、この学園において公安は決して逆らってはいけない組織なのだ。


 そんな組織に人間疑惑を掛けられた月音は地下への連行を強制させられた。先月の石神教師の事件を切っ掛けに「青野月音は人間の可能性がある」との疑いが持ち掛けられたのだ。


「なに言ってるのよっ! 月音が人間のはずないじゃない! 人間がこの学園にいるわけが……っ! 月音も何か言ってやってよ!」


「そうですぅ! 月音さんが人間のはずがありません!」


 月音が人間だという話に絶句する新聞部の部員たち。胡夢と紫が抗議する。


 当の本人である月音は動揺の欠片も見せず、腕を組んで静かに目を瞑っていた。


「どうなんだ、んん? お前、人間側のスパイか? どの道この学園に浸入することなど許されることではないぞ。――連れて行け」


 九曜の手下と思われる男子生徒たちに連行される月音。ここで抵抗することは簡単だが、他の部員たちに迷惑が掛かる危険があるため、大人しく従った。


 場所が変わり、学園の地下二階。通路を挟む形で牢屋が並んでいるここは留置所のような印象を受ける。


 手下たちに四方を固められた月音は無言で九曜の後に続いていると、鉄柵の向こうから牢屋の住人が怨嗟の声を上げながら手を伸ばしてきた。


「出せぇぇぇ! ここから出してくれぇぇぇッ!」


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