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第七話 夜天、遺失物
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三人はそれぞれに向かってくる短剣を、全て避けきる。それもできる限り最小限の動きで。
避けた三人はそのタイミングで射撃魔法を行使する。
そこに現れたスフィアはそれぞれ三つ。
それらは寸分たがわずひさめを狙い撃たんと迫るが、軌道が分かりやすく、ひさめにとっては避けるにたやすかった。
「さっきのをあそこまできっちり避けきるとは思わへんかったわ。」
「あなたこそ。あのタイミングの攻撃をああもたやすく避けられるとは、驚きでした。」
ひさめの目には言葉通り、やや驚きと言った色があらわれているが、相手は口で言うほど驚いているような声色ではなかった。
ひさめはそれにやや疑問を感じるが、今は戦闘中。意識を切り替える。
「こっちは急いでるんや。さっさと終わらせてもらうで。」
その言葉を皮きりに四人はそれぞれ一気に動き出す。
高速に動きながら、ひさめは無数の刃と白い弾丸を形成する。
しかし、相手も負けじと三人で無数の魔力弾を形成する。
四人はそれぞれ打ち合うが、しかし、一つとして相手に攻撃は届かない。
ひさめは相手の射撃を物量で押し流すように打ち込むことで通さず。
三人は押し込まれるように飛んでくる射撃魔法を一つ一つ迎撃するように相殺していく。
ひさめのそれは、物量、力業とも言えるような手法で、相手のそれは、戦術、技巧と呼べるようなそれぞれ対極の手法で互いの攻撃を防ぎ合っていた。
しかし、その均衡は次第に崩れ始める。
徐々にひさめの攻撃が届くようになってきたのだ。
ひさめのとった方法の欠点は、スタミナが持つかどうかの一点に限る。相手の攻撃を見切る必要もなく、自分の力が持つ限り、押しつぶすように攻撃していけばいいのだから考える必要も特にない。
しかし、相手のとった方法はそうもいかない。スタミナの消費は少ないと言えるが、精神的なスタミナの消費は相当に激しい。雨あられと続く攻撃を見切った上で迎撃しなければならないのだから。
三人は無理を悟ったのか、すぐさま頷きあい、三人とも射撃魔法をやめ一人がシールドを展開する。
シールドを展開した一人は、たった一人ひさめの攻撃の重さに耐える。
残る二人は一人の背後からそれぞれ左右に展開し、別の角度から射撃魔法を打ち込む。
しかし、ひさめもこれに慌てない。すぐさま射撃魔法を中止し、勝利の布石を一つ残してその場を離脱する。
相手の放った射撃魔法は先ほどまでひさめがいた位置を通過していった。
「あの攻撃を耐え抜かれるなんて予想外やったわ。」
ひさめの表情には驚きがあった。
ひさめとしては先ほどの物量攻撃で三人とも倒すつもりであったのだが、思ったよりも防御が硬く、倒しきれなかった。
「でも、これで終わりや。」
咄嗟にしかけた決着への布石。
布石から導かれる勝利への道筋。
すでにひさめの目には決着
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