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第七話 夜天、遺失物
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。」
対話に応えたとはいえ、その警戒が弱まっているわけではない。
ひさめはいまだ最大限の警戒をしたままである。
「そちらに持っている物はロストロギア、デザイアシードで間違いありませんね。」
すると、相手はいきなり核心を突く言葉を投げてきた。
ひさめの警戒レベルは一気に跳ね上がる。
「………なんでそんなことを聞くんや?」
今、ひさめの置かれている状況は非常にまずいと言える。
それはひさめ自身が危険と言うわけではない。実際、ひさめは相手から感じる魔力で切りぬけることは可能だろうと考えているからだ。
しかし、そんなことよりももっとまずいのは、こちら側の情報が相手に漏れていると言うことにほかならない。
ロストロギアの情報は厳密に管理されているはずであった。なにしろ今回何が運ばれるのかは、運ぶ張本人のひさめですら直前に知ったくらいなのだ。かなり厳重に管理されている。
しかし今の状況をみると、ロストロギアの情報が漏れているということがはっきりと証明されてしまっている。
この状況は大局的に見るとまずい。非常にまずい。
ひさめはどうにかして相手の所属を聞き出せないかと、普段使わない頭を回転させる。
「デザイアシードを我々に渡していただけませんか。」
相手からの唐突な要求。しかしこれに応じるほどひさめはバカではない。
「なんや、ほんなら自分たちも名乗ってみい。名前の知らない人間に仕事を預けるほど私はバカやないで。」
相手は口元以外はバイザーで覆われ、しかも全身は黒のスーツで統一されており、服装や人相から相手を割り出すことは不可能に近かった。
そんな相手の正体を引き出したいと言う本音が透けて見えるようなひさめの返答。
本当ならもっとうまく交渉し、相手の正体を引き出すのだろう。
しかし、ひさめではこれが精一杯であった。
当然相手もそれに乗らない。
「我々の正体は言えません。ですが、それを渡してほしいのです。」
「ふざけとんのか。正体は明かせませんが、荷物は任せてほしいで任せる相手がどこにおんねん。」
ひさめは警戒態勢を戦闘態勢に移行する。
相手の所属を聞き出すためにぐちぐちと交渉するのも自らの性に合わず、さっさと突破することを考える。
「できればあなたとは戦いたくはなかったのですが………。」
相手も戦闘態勢に移行する。
「せやったら、初めからこんなことせんかったらええねん!」
『Dolch shoot.』
十二の短剣が展開され、相手に向かっていく。


射出された刃は相手に避けられ、空を切る。
しかし、相手が避けた先に打ち込まれるのは白色の弾丸。
猛烈な速度で迫るそれを、一人はシールドで防ぎ、一人は避け、一人は魔力弾で相殺する。
攻撃はそこで終わらない。この隙にと言わんばかりにもう一度十二の刃が三人に迫る。

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