第七話 夜天、遺失物
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切れていないほどである。
そんな広い次元世界の中で、遺跡の発掘を生業にする一族はスクライアだけではない。
スクライアから分化したスリアイナの一族もそうだし、ファルドーラの一族もそうだと言える。
しかし、スクライアの一族はこれら多くの同業者のなかで、最も優秀な実績を残している。それゆえに管理局の内部、特に遺失物管理課には非常に有名なのである。
よっていくら現場の人間といえども、知っている人は知っている程度には有名なのである。
加えて、ひさめにとってもスクライアの名は完全な無関係と言いきれるものではないこともあるが。
「そうですか。それほどまでにスクライアの一族が評価されているのは嬉しい限りです。………さて、ここが担当の者がいる部屋になります。」
連れてこられたのは『遺失物研究第一室』というプレートがかけられた部屋であった。
アーデルはコンコンとノックをして入室の許可を得ると、ひさめを中へ案内した。
「どうもこんにちは、管理局の方。」
そこに居たのは研究者と思しき男だった。
20程度の男だろうか、男はいかにもな白衣を着て、しかも寝起きのようなぼさぼさの髪をしている。はっきり言ってしまえば大分みっともない格好をしていた。しかも眼鏡の奥に見える瞳はなんだか眠そうで、隈もうっすらと見えていた。
ザ・研究者とでもいうような姿であった
「はじめまして。今回ロストロギアの護送任務を担当します、八神ひさめ言います。よろしくお願いします。」
「これはこれは、ご丁寧にどうも。僕の名前はラルク・スクライアと言います。見た目通りしがない研究者をしております。どうぞよろしく。」
男は自分よりもはるかに年下な少女に深々と頭をさげられ、自分も頭を下げる。
「それで早速仕事の話をしたいんですが………。」
顔を上げたひさめがすぐさま本題を切り出す。
「そうですね。それじゃあその辺に座っていただいて、僕は現物を持ってきますので、待っていてください。」
「いえ、ラルク。私が持ってきますので、運んでもらう物について先に説明していてください。」
第一研究室のドアに向かって歩き出そうとしていたラルクを止め、自分が代わりに行くと言いだすアーデル。
「そうだね。それじゃあお願いできるかな。」
「はい。それでは失礼します。」
アーデルはそう言って第一研究室を退出する。
「アーデルさんは気の利きはる女性ですね。」
「あはは。僕にはもったいないくらいの部下ですよ。………それで、今回護送していただくロストロギアですが。」
いくつかのファイルを研究室の棚から取り出すラルク。
それらのファイルから取り出されたのは、三枚の書類だった。
「あれ?三つもあるんですか?」
「ええ。ほぼ同時期に三つのロストロギアが発見されまして………。どれも大きいものではないですし、厳重
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