吸血鬼
真祖
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。
恐らく俺が自分の意思で此処に来ようが来なかろうがローラ本人に呼ばれていただろう。
「あなたならそう言ってくれると思っていたわ。仕事の内容は簡単。人探しとその保護よ」
人探しと保護。そう聞くだけなら確かに簡単な内容だが、俺にこの話が回ってきている以上、そんな簡単な内容では済まないだろう。
一種の不安と胸に抱きながら、俺はその対象について疑問を返す。
「対象の特徴は?」
「んー…見た目は年若い女子なのだけれど、その中身がね」
「中身?どういうことだ?」
「その対象の女子、吸血鬼の真祖なのよね」
正直ローラの言葉に自分の耳を疑った。
吸血鬼。
その名前は聞いた事ならあるが、実際にいるとなると話は別になってくる。
吸血鬼の力は一般に人間でも知っているようなものであり、血を飲んだ対象を同属に変える、というものだ。
と、そんな力だけなら大して脅威がない存在なのだが、吸血鬼の一番の力は不老不死による魔力の無限化、だろう。吸血鬼の魔力の源は自らの生命力から来ている。つまり不老不死の吸血鬼は自身が持つ魔力に限りがなく、無限に魔力を使用する事が出来る。
だから一度吸血鬼が魔術と言うものを習得してしまえば、それは一瞬にして化け物の領域へと足を踏み入れることになる。更には吸血鬼は不老不死なのだから、人間に掛かっている時間制限がない。長く生きれば生きるほど最強へと近づくのだ。
そして今回の対象はそんな恐ろしい力を持つ吸血鬼なのだが、今回は更に最悪だ。
真祖。
それは吸血鬼の始めである始祖から直接血を吸われ吸血鬼へと変わった存在の名称。つまり限りなくオリジナルに近い力を持っており、それだけ長く生きている、ということにもなる。
この後の事を考えただけで頭が痛くなりそうな内容だ…。
「…それは本当に真祖なのか?ましてや本当に吸血鬼なのか?」
「書籍と照らし合わせた結果、真祖である可能性が高い、という結果よ」
何故今になって吸血鬼が世界に出てきたのか気になる所ではあるが、それは俺の知りうる範囲ではない。その手の話はローラなどといった上の人間に任せておけばいい。
俺は只与えられた仕事をこなすだけだ。
…。
とは言え、やはり文句の一つは言いたくなる。
今まで騙されていた挙句、その次に言い渡される仕事は吸血鬼の真祖の保護だ。
インデックスを捕まえるのとは話の次元が違う。まだ吸血鬼になりたての吸血鬼を捕まえるのであれば簡単だったが、長く生きている真祖となると…腕の一本や二本覚悟しておいた方がいいかもしれない。
「頭が痛い話だな。それで…報酬は?」
金には困っていないのだが、報酬は大切だ。仕事
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