パンツ騒乱
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セリナがうちに来て四日目、同居生活の弊害がとうとう現れた。
「ん?何だ?」
今朝もいつも通り起きて井戸で洗濯物をしているとタオルの間からパンツが出てきた。ただそれがオレのパンツではなかった、生地及び形状がオレのものと違うからだ。
つまりセリナのパンツである。
「なんでこんなものが。」
オレとセリナとは洗濯物は別々にやっている。すなわち二人の洗濯物が混ざるこれはない。
ではどうして。
「けど思っていたより小さい。」
実は一昨日生活用品の補充と彼女の衣服を買いに商業ギルドに行った。下着類はオレが口出しするわけにいかないのでカネだけ渡していた。
そしてオレの渡したカネを全部使って服をどっさり買い込みやがった。
彼女のパンツをまじまじ見ていると背後からドアの音が聞こえた。
「おはようカズヤ。」
「ん?ああ、おはよう。」
問題の主のご登場だ。
「なあセリナ、これお前のか?」
「へ?」
彼女に彼女のパンツを見せる。独身男性が同居している同じく独身女性に女物のパンツを見せるなんておかしな光景である。
「な、なな、なんであなたがそれを!?」
顔を真っ赤に染め上げて自身のパンツを指差す。
「なんでってオレが訊きたい。」
「口答えしない!」
「口答えじゃねー。」
「いいから答えなさい!」
「うぐっ?!」
セリナはオレにズンと近づいてきて、突然オレの胸倉を掴んだ。そして足が地面を離れた。さすがは身体強化のチート、伊達じゃない。
「さあ答えなさい。」
いつの間にか彼女の右手にオレがあげたレイピアが握られていた。ということは彼女は左手だけでオレを持ち上げていることに。
「や、やめてくれ。」
「ちゃんと答えてくれたら止めるわ。」
レイピアの切っ先がオレの首に近づく。
「わかった。わかったから近づけないで。そして離してくれ。」
「……ふんっ。」
「へぶっ!?」
左手だけでオレを家の壁に投げつけた。そして地面に落ちて二倍痛い。
「で、答えてくれる?」
「は、はい。あれはオレの洗濯物に混ざっていただけで。」
「バカっ。」
「ぶはっ。」
なぜだ。なぜぶたれた。体中が痛いのに顔に追加ダメージを与えなくても。
「そんなウソつかなくても言ってくれたら……。」
「え?なんて?」
「な、何でもないわよ。」
オレは頭の中がハテナマークで満たされた感じがした。
セリナはといえばオレの落とした自分のパンツを拾ってオレを睨んでくる。
「で、どうしてあなたのところに私のパンツがある訳?」
「オレに訊かれても。タオルの間から出てきたんだ。」
「タオル?」
「いま桶に入っているヤツ。」
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