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孤独感からの脱却、そして
孤独感からの脱却、そして
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僕の目の前に現れたのは最初は人型の姿をした魔物だった。それは僕も知らない魔物だった。しかし僕が「お前がローラ姫をさらったのか!」と叫ぶと、その魔物は緑色のドラゴンへと変貌していった。
「貴様にローラは渡さん!ローラは竜王の妻となるのだ!」
後ろで悲鳴が上がる。ローラ姫の声に違いない。
「そうはさせない!」
僕は腰から鋼の剣を抜き、ドラゴンに切りつけた。
すると、ドラゴンは炎を吐いてきた!僕はあわてて鉄の楯で防ぐ。しかし、僕のむき出しの腕が少し焼けた。
「くっそおお!!」僕はまたドラゴンに向かって走る。
その後も僕とドラゴンの一進一退の戦いは続いた。ドラゴンの破壊力はすさまじく、僕は意識を失いかけたが、ホイミで何とか持ちこたえた。
しかし、魔力も尽きかけていた。ホイミがかけられる分の魔力さえ失ったら僕は死ぬだろう。
ローラ姫の泣き叫ぶ声が聞こえた。…僕は死ぬわけには行かない。
僕は力いっぱい剣をドラゴンに突き刺した。ドラゴンはけたたましい叫び声をあげ、息絶えた。
ドラゴンを倒したのだ。僕はローラ姫のほうを向く。ローラ姫は檻の中で泣き叫んでいた。

「…勇者様!」
ローラ姫が僕に向けていった第一声がこれだった。…勇者?なぜローラ姫は僕が勇者だと分かったのか(というか思っていたのか)?
ローラ姫は涙でぐしゃぐしゃになっていたが、可愛らしさは失われていなかった。
「ああ、勇者様、私を助けに来てくださったのね!私はラルス16世の一人娘、ローラです。あなたが助けに来てくれなければ私は竜王の妻に…そんなおぞましい事は嫌です。ああ、嬉しいですわ…!」
「僕が勇者だって…何故」
「…私にとって、貴方が私の勇者様なのですよ」
ローラ姫のは涙ながらに笑顔を向けた。とても、可愛らしい笑みだった。
ああ、そういう意味か。僕は苦笑いを浮かべた。
「ねえ、勇者様、貴方の名前を教えてくださらない?」
「僕ですか?僕はハルカ。ハルカ=R=ドランスフィールド。変わった名前でしょう?」
すると、ローラ姫はまた別の笑み、優しい微笑を浮かべた。
「いいえ。素敵な名前ですわ。ハルカ様…」
その時、僕は何か温かいものが心を満たしたような感覚になった。うまくはいえないが、それは心がプラスの方向へと向かっていることは確かだった。
「ああ、そうだ…」僕は床に落ちていた鍵を拾い、檻の鍵を開けた。ローラ姫が僕に抱きついてきた。そして泣きじゃくった。
「ローラ姫…。遅れてすいません…」
「いいえ……助けてくださって、…私は本当に嬉しいのですわ…」
ローラ姫は華奢な体つきで、ふわふわの髪が僕の体に当たって気持ちよかった。僕はそっと、ローラ姫を抱きしめた。
……温かい。ドラゴンとの戦いのときについた傷の痛みが全く気にならない。なんていえばいいのか解らないくらい
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