決戦
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ゲツガとキリトは同時にその名を読んだ。それを聞いたこの場の全員は凍りつく。
「え……嘘だよね……団長が……茅場……晶彦なんて……」
ユキが絞り出すように声を上げた。
「本当だ。お前もそう思うだろ、キリト」
「ああ。ゲツガの言う通りだ。それに《他人のやっているものをただ眺めるほどつまらないものはない》。そうだろ?茅場晶彦」
そう聞いた瞬間、アスナも絞り出すように声を出す。
「団長……本当……なんですか……?」
しかし、その問いには答えずにゲツガとキリトのほうを向いて言葉を発す。
「……なぜ気付かれたのか参考までに教えてもらえるかな……?キリト君から」
「最初におかしいと思ったのは例のデュエルの時。最後の一撃だけ、あんたあまりにも速過ぎたよ」
「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。君の動きに圧倒されてついシステムのオーバーアシストを使ってしまった」
そう言った茅場晶彦は今度はゲツガを見て言う。
「今度は君だ」
「俺の場合は、キリトと同じことと、俺に迫った時だ。あの時、お前が口に出してなかったらまだ分からなかったよ」
「あの時口に出ていたとはな……。デュエルでは君には正直驚いた。オーバーアシストを初見で防ぐなんて見たことがなかった。少しひやりとしたよ。」
そう言って、口元の片方を歪めほのかに苦笑の色を浮かべた。
「予定では攻略が九十五層に達するまで明かさないつもりだったのだがな」
ゆっくりとプレイヤー全体を見回し笑みの、色合いを変えて超然としたものに変え、紅衣に聖騎士は堂々と宣言する。
「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上階で君達を待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」
近くでユキがよろめく気配を感じた。ゲツガはユキを視線を逸らさずに弓を持たない右手で支える。
「趣味がいいとは言えないぜ」
「まったくだ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスかよ」
キリトの言葉を続けるようにゲツガが言った。
「なかなかいいシナリオだろう?盛り上がったと思うが、まさかたかが四分の三地点で看破されてしまうとはな。……君達はこの世界での最大の不確定因子だと思っていたがここまでとは……特に君だ。ゲツガ君」
茅場晶彦はゲツガを興味ありげに見た。
「君は、色々とすごいことを思いつく。まずは、筋力一極の移動方法。あれは最初見たとき驚いたよ。そして弓だ。この世界ではないはずの飛び道具を柔軟な考えで造りだした。ほかにも、君の言い方で《武器殺し(ウェポンキラー)》だったかな?あの技は正直君じゃないと出来ないと思うよ。力で全てをねじ伏せる君にしか……」
ゲツガはその言葉に少し苛つくが次の言葉を待った。
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