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弱者の足掻き
十一話 「『二人の』為」
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でもつけとくか。色々と冷静にされる。いざという時にも使える」
「いいですねそれ。最初の頃は上手く寝られなそうです」
「不測の事態を想定するってのは大事だ。俺は色々用意してあったりもするしな」
「ほんとですか?」
「ああ。準備っていうのはしすぎて困ることはない。覚悟もそうだ。『一度決めたら貫け』そこに余分なものを入れるな。もしかしたら、きっとまだ、上手くいけば……計画の時ならいい。だが実際の時の“それ”は弛みでしかない。意思は、『覚悟』は強さだよ」

 アズマにとっての計画というものは上限の一歩下だ。けっして『それ以上』をたやすく受け入れられる下限ではない。落とすことはあっても上げはしない。本当なら上限がいいのだが、実行した際の多少の誤差を受け入れられるようにしていなければ簡単に潰れてしまう。
 完全にできたら上々。仮に上を求めるにしてもその場で新たに計画を練り直してから。何もなしでちょっと手を伸ばしてみよう、など自殺行為だと思っている。

 だからこそ”それ”だけは貫くのだと決める。僅かな迷いさえも断ち切り、一直線にブレずに動く。時に確固たる『意思』は思わぬ運を寄せることもある事を知っている。

 そんなアズマを青年は感心しながらも変なものを見るような目で見てくる。

「……今まで何があったんすか」
「色々だ。気にするな」

 そろそろこの仕事もやめようかなどともアズマは思っている。
 だが言うべきことでもないとばかりにもう一口カップの中身を口に含み残りは飲む気になれず地面に傾ける。青年は一気に煽りカップを空にする。
 暖かいためか微かな倦怠感が体にまとわりついているのを感じる。

「そう言えば静かだな。子供の声がうるさいの覚悟していたが」
「声も上げられない状態じゃないんですか。散々にヤられたみたいですし」
「……そう、だよな。にしても生きてるのか心配になるくらいだ。本当にいるのかよ。死んでないか?」
「何か気になることでも?」

 いや、とアズマは小さくかぶりを振る。何となくだが小さな違和感があったのだ。だが何の確証もないそれを気にするほどでもないだろう。
 ただ何となく、何となくだが小屋から気配を感じられないのだ。

「そろそろ戻るか。小屋もちょっと見て――」




「――ッあがぁっあああ!!?」


 瞬間、悲鳴が上がった。
 火を囲んでいた五人。その内の一人が胸を抑え倒れたのだ。
 いや一人だけではない。他三人もふらつき酷く辛そうにしている。地に蹲り吐いているものもいる。

「おいどうし――っ!?」

 立ち上がろうとした意思と反しふらついた足元にアズマは驚愕する。
 感じていた倦怠感がやけに大きい。吐いたりなどということはないが明らかに異常で眠気さえ感じる。横
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