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弱者の足掻き
十一話 「『二人の』為」
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適当に逃がしましょうよ」
「バッカそんなんだからお前はダメなんだよ」

 呆れたように青年の頭を軽く小突きアズマは溜息をつく。
 青年の優柔不断さ、甘さにもなるそれについ呆れてしまう。

「いいか? そういう躊躇いがバカ起こすんだよ。その時になって躊躇うな。後悔なんざ後で出来る。そして上手くいっても決めたこと以外をするな」
「何でですか? 上手くいったなら行けるとこまでいけば……」
「馬鹿野郎。上手くいったのは“そこまでは上手く出来た”ただそれだけだ。運が良かったからでも手前が玄人だからでも何でもない。調子に乗って勘違いしたゴミのせいで今どうなってるか考えろ」

 ここまで上手く出来た。だからまだ大丈夫だろう。そんな考えは自殺行為にしかほかならない。
 確かにそれで思わぬえ利益を得ることもあるだろう。だが、計画されたものと違いそこからは運が多分に絡んでくる。態々自分からほころびを作ることにほかならない。

 一度ミスをすれば終わり。そんな行為の中でほころびを作るなどあまりに愚かしい行為だ。理性的な行動を心がけ感情を抑えるのが大前提。それを無視したもののせいで今不便を強いられているのだから尚更だ。 

「確かにそうですね。でもやっぱ難しいですよ。言われただけじゃどうも」
「躊躇いは自分を殺すぞ。仕事と趣味は割り切れ。その点俺はお前を評価しているぞ。臆病だからか言われたこと以外勝手なことはしない。へらへらして『出る杭』にならないから目立たず溶け込める。あの時同じ場所にいたのに顔を見られずに済んだ運とかもな」
「それ褒めてるんですか? 酷いですよアズマさん」
「そう言って木偶にならず色々聞いたり言ったりするとこもだ。甘さを切って大人になれよ」

 足取りも軽く、褒められたのが嬉しい青年は苦笑しながらも僅かに頬を緩ませる。
 鞭の後の飴。それを気づかず甘受しながら青年はそれなら、と褒められた考えをぶつける口で自分の意見を言う。

「じゃあ捨てるのやめて連れてって売りましょう」
「どこにだよ……まあ探せばあるだろうけどな」
「女の子の方可愛かったですよ。そうしましょうよ」
「器量は良かったな。飼って玩具にしたい好事家もいるだろうしそれでいいか」

 真っ直ぐな黒髪の美しい幼さを残した少女だったはずだ。公に金で買えない歳の少女を欲しがるやからなど探せばすぐ見つかるだろう。その相手の元で少女は飼われる。
 公にされていない、何をしても法に咎められない様に囲われ少女は飼われる。その肢体に欲望をぶつけられ蹂躙される。人としてではなく奴隷として、ペットとして。段々と育ちその美が増し肢体も大人びるごとにその体も使い込まれ、そしてまた性をぶつけられる。
 そこまで軽く思いをはせ、まあ死ぬよりはましだろうとアズマは考えを止め
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