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少女1人>リリカルマジカル
第二十一話 少年期C
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。だが、実はこれが一番大変だった。なぜなら誰にでも渡していいわけではなかったからだ。

「しかし、あやつからいきなり連絡をもらった時は驚いたのぉ。儂らとしても世話になっとるし、悪くない話だからこそのらせてもらったが」
「本当にありがとうございます。俺には管理局への伝手なんてなかったから、お願いしたんですけど、……俺も正直総司令官達と面識があったことに驚きました」

 あの人からの了承の返事が来た時なんて本当にびっくりしたからな。ヒュードラのことでどうしても信頼できる管理局員を内密に紹介してほしい、と無茶なお願いをしたのだから。そんなお願いを真剣に考えてくれて、こうして接点を作ってくれたのだから感謝してもしきれない。

「かっかっか。まぁ、今回は管理局の一部の人間も関わっとるようだったからな。下手に局員の人間に情報を渡せなかった坊主の考えも理解できる。今回は儂としても白羽の矢が立ったことに素直に感謝しておるよ」

 俺としても相手が総司令官達で助かったのは事実だ。地位も高く、人脈だって広い。何よりも取引の内容を吟味した上で、6歳児の俺と対等に契約してくれた人物だ。

 俺がおじいちゃんに提供したのは主に2つ。1つはヒュードラの開発情報や関係者の弱みといった映像記録の提出だ。これを渡す代わりに母さん達を助けるために手を貸してもらうことになった。

 そしてもう1つが、映像記録を撮った功績を渡すこと。俺は今回の事件の表舞台には一切出るつもりなんてない。映像を手に入れたのは開発に疑問を持ったローバスト総司令官が、秘密裏に地上部隊の局員を潜り込ませたことで手に入れたものと公表される。お互いの利益が見事に一致したことで作られた協力関係だ。

「しかし、総司令官。この件が終わった後、本局の方に目をつけられる可能性がありますが…」
「ふん、今までのようにあしらわれるだけよりましじゃろ。地上部隊の迅速な対応と力を民衆と本局に見せつけられる。儂ら「陸」の発言力を高められる機会だ。お前も儂の副官なんじゃし、目をつけられる程度、本当はなんとも思ってないだろ?」

 おじいちゃんがにやにやしながら放った言葉に、副官さんも言ってみただけです、と口元に笑みを浮かべる。おそらく副官さん自身も今回の件に反対はしていないのだろう。むしろどんとこいや! という感じの人だと思う。

 出会ってまだそれほど経っていないから、あまりこの人たちのことを俺は深く知らない。おじいちゃんは管理局ができる前から世界を平定し続けていたすごい人で、副官さんもそんな総司令官に認められ、若くして引き抜かれた優秀な人物らしい。

 ……まぁ、普段俺が見ている2人の姿があれなもんだからなんともいえんが。打てば響く副官さんの反応は、おじいちゃん的にツボらしく色々困らせているらしい。
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