第二十一話 少年期C
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
まずなによりも、落ちているものを食べそうな子というレッテルを先に外すべきか真剣に悩んでしまった。
******
「おかしい。なんであんな理由で納得されたの? 俺ちょっと本気でこれからの生き方考えた方がいいのかな…」
「なんでいきなりこんな状態なんじゃ」
『ますたーとしては冗談で拾い食いルートで進んでみたら、妹と家猫に「まったく仕方がない兄だなー」という表情で見送られてきましたので』
コーラルの説明におじいちゃんから憐憫の眼差しを向けられました。真剣に同情されたみたいです。確かにアリシア達に怪しまれずに外に出られたけど、なんでこんな精神的ダメージを受けなきゃダメなんだ! 後が大変だけど、お兄ちゃんとしてはやっぱり怪しんでほしかったよ!
「日頃の行いではないか?」
「どういう意味ですか、副官さん」
「お前なら道端にキノコでも生えていたら、取って普通に食っていそうな気がする」
おじいちゃんとコーラル、今納得しかけなかったか。しないからね、そんなこと。俺は部屋の一角に立っている男性に意識を向ける。まず目に付くのが彼の眼だろう。髪と同じ鳶色の瞳。鳥のように鋭く精悍といってもいいかもしれない顔立ちの青年だ。
「……お孫さんのくせに」
「おい待て。今ぼそっと何言った」
「おじいちゃーん、あなたのお孫さんがいじめてきまーす」
「おぉ、すまんなー。後でメッてしておくからのぉー」
「孫言うな! ローバスト総司令官も何のっているのですか!? 私とは一切血はつながっていないでしょう!!」
あといじると面白い。ちなみにあだ名はお孫さん(命名俺)で、おじいちゃんが完全に孫を見る目線だったので採用させてもらった。命名した時のおじいちゃんの爆笑した姿は今でも覚えている。
さて、改めて今までの状態を簡単にまとめておこうかと思う。おじいちゃん――地上本部総司令官とその副官さんと出会ったのは、事故が起きたその日のことだった。
俺は事故が起きる前までずっと、上層部やその関係者の情報を得るために奔走していた。それと同時に考えていたのは、その集めた情報をどのように使うべきかであった。最も効率のいい方法。最も安全な方法。それらを考えて思い至ったのは、やはり管理局に提出することだった。
俺が公表するという手もあったが、後のことを考えるとあまりいい手ではない。母さんに心配をかけさせてしまうし、何よりも足がつくのが怖かった。俺が追い込んだのだとわかれば、復讐に来るかもしれない。それはできる限り避けたかった。
だからこそ情報を有効活用してくれて、なおかつ俺たちの隠れ蓑になってくれる存在は管理局しかなかった。ミッドの治安維持を務め、今回の事故の指揮も執っている管理局の地上本部の人の手に渡すこと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ