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スーパーロボット大戦パーフェクト 第三次篇
第百四十六話 メメントモリ
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その彼に対して言うのだった。
「今度何処かに行く?」
「何処か」8
「うん、月のさ」
今彼等が月にいるからこその言葉だった。
「月の街で。僕とさ」
「沙慈と」
「何処でもいいよ」
彼女を気遣ってこう言うのだった。
「何処でもね。ルイスが好きな場所に行けばいいよ」
「けれど」
だがルイスはここで言うだけだった。
「私は」
「どうしたの?」
「何処も行きたくない」
こう言うのである。
「何処にも行きたくない」
「何処にもって」
「あのガンダム、あいつが」
目を凍らせての言葉だった。
「あいつがパパとママを」
「パパとママをって。君の」
「あいつが全部奪ったのよ」
目の焦点が合わなくなってきていた。瞳孔が開いている。
「あたしの全てを。左手も」
「君の左手も。やっぱり」
「あいつのせいで」
精神の恐慌が露わになってきていた。
「あいつのせいで皆死んだのよ。皆」
「けれど君は」
「あいつのせいで」
なおも震える声で言うルイスだった。
「全部失ったのよ、あいつは」
「それでどうしたいの?ルイスは」
沙慈は優しい声で彼女に問うた。
「何がしたいの?今は」
「殺してやる」
その血走った目での言葉だった。
「絶対に。殺してやる」
「殺してって」
「あいつは、あいつだけは」
声にも血走ったものが及んでいた。
「あたしが殺す、絶対に」
「それが君の今の望みなんだ」
「何があっても」
ルイスはまだ言うのだった。
「あいつは私が殺す。絶対に」
「わかったよ」
沙慈は彼女のその言葉を受けて頷くのだった。
「それじゃあ君はそうするといい」
「何があってもそうするわ」
今の彼女にはそれしかなかった。
「さもなければ私は」
「わかったよ」
優しい声で頷いてそれを受け止める沙慈だった。
「それじゃあ君は君が望むことをするんだ」
「ええ」
「けれどね。それが終わったら」
ここでまた言う沙慈だった。
「戻って来て」
「戻る?」
「うん、戻ろう」
笑顔でルイスに告げるのだった。
「僕達の場所にね」
「私達の場所に」
「ほら」
ここで取り出したのは一枚の写真だった。そこに映っているのは彼と彼女だった。四年前の二人が笑顔でそこにいるのだった。
「ここに戻ろう」
「そこに」
「うん、戻ろう」
またルイスに告げるのだった。
「この世界にね」
「戻れるの」
ルイスはその沙慈の言葉を受けて述べた。
「私が。今の私が」
「一人じゃ無理かも知れないけれど」
彼はこうも言うことは言った。しかしだった。
「けれど」
「けれど?」
「二人だったら行けるよ」
こう言うのであった。
「僕達二人だったらね」
「あの頃に戻れる」
ルイスはまた呟いたのだった。

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