第百四十話 斗牙の判断
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にな」
「ちずるさんが可哀想よ」
そのちずるには皆同情的だった。
「あんなにアプローチしてるのね」
「直接言わないと駄目でしょう」
ルリが言う。
「豹馬さんには」
「直接ねえ」
フレイがそれを聞いて難しい顔を見せた。
「ねえユウナさん、何かいい考えない?」
「えっ、僕?」
話を振られたユウナはこの時アスランの手から婚約証明書を必死に守っていた。彼がその証明書を何とかして破こうとしていたからだ。
「僕にあるのかって?」
「そうですよ。例えばその婚約証明書を使ってですね」
「ああ、それはいいね」
アスランを必死に振りほどきながら応えるユウナだった。
「これは本当に究極の手段だしね」
「何時の間にこんなサインが!」
「だから酔っている間になんだよ」
アスランに対しても言うユウナだった。
「まあ酔っている時こそ用心することだね」
「貴方それでも一国の首相ですか!」
「首相・・・・・・だから何だよ」
ユウナはここでわざと遠い目をしてみせた。
「時として。非道をしなければならない」
「国家元首の結婚でですか!」
「それこそが国家の一大事だからね」
ユウナの言うことにも一理はあった。
「だとすれば僕はあえてどんな汚いことでもするよ」
「こんなもの!」
その間にもアスランは証明書を奪おうとする。
「早く返して下さい!」
「それはできない相談だよ」
当然ながらユウナも引こうとはしない。
「折角カガリのお婿さんが見つかったんだ。もうね」
「だから俺は納得していません!」
「サインしたじゃないか」
「だからそれは寄って!」
「酔ってもサインはサインだよ」
ユウナの詭弁は続く。
「さあ、諦めてオーブの次期国家元首にだね」
「嫌です!」
これまたはっきりとした返答だった。
「せめて素面の時に話して下さい!」
「じゃあ今だよね、それって」
「ですからもう一度サインの話を!」
アスランを左右からキサカとトダカが押さえ何とかユウナの思うようにしようとする。ところがその肝心の婚約証明書が。何処からか出て来たミグカリパー達に食べられてしまったのだった。
「あれっ、巨大雀達が」
「食べてしまいましたな」
「何と」
ユウナ達はこの思わぬ事態にまずは目が点になってしまった。
「雀って紙も食べるんだ」
「初耳ですな」
「巨大雀だからでしょうか」
「とにかくこれで話は振り出しね」
ここでも冷静というか醒めているフレイだった。
「アスラン、よかったじゃない」
「助かった・・・・・・」
実際に冷や汗をかいた顔でほっとしているアスランだった。
「本当に」
「けれどあんたカガリじゃ嫌なの?」
不意にこんなことを尋ねるフレイだった。
「カガリは。どうなのよ」
「えっ、カガリがかい?」
「
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