第百三十九話 与えられた柱
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ころに帰してやるのだ」
「人の場所に」
「そうだ。人の場所だ」
彼女はまた言う。
「そこに戻してやるのだ」
「わかりました。それでは」
こうしてシルヴィアは放たれる。そうしてそのアクエリオンに乗りロンド=ベル達の方に戻った。
アポロはそれを見てシリウスに対して言うのだった。
「おい、御前も戻って来い」
「断る」
しかし彼の返答はこうであった。
「私は天使だ。人間ではない」
「まだわかんねえのかよ」
アポロはそんな彼の言葉を聞いて怒りの声を出した。
「まだよ。そんなこと言ってんのかよ」
「まだでも何でもだ」
しかし彼も強情であった。
「私は天使だ。人間ではない」
「いや、御前は人間だ」
アポロはまた彼に言い返した。
「人間なんだよ。天使も人間なんだよ」
「戯言を」
「戯言なんかじゃねえ。本当のことだ」
アポロも引かない。
「御前は人間なんだよ。紛れもなくな」
「何故そんなことが言える?」
それなら、と問い返した感じであった。
「天使が。私が人間だと」
「心がそうだからだよ」
「心がだと」
「そうさ。御前の心は人間のそれなんだよ」
このことをさらに言うアポロだった。
「だから人間なんだよ。天使もな」
「だとすると」
「我々もまた」
智使達もここで話をした。
「人間となるのか」
「人の心を持っているのならば」
「その通りだ!」
そして不動が叫んだ。
「どのような姿であろうとも心が人ならばそれは人なのだ!」
「そうか」
「では我々も人になるのだな」
錬使途剛使もここでわかったのだった。
「人の心を得れば」
「そうなるのだな」
「御前達も既に人だ」
不動は彼等に対しても告げた。
「古の同胞達よ」
「同胞だと!?」
「まさか貴様は」
音使と両使もこれでわかったのだった。
「アポロニアスはあの赤い髪の少年ではなく」
「貴様だというのか!?」
「アポロニアスは人の心に気付いたのだ」
不動はあえて答えないようであった。
「だからこそ彼は人の世界に入ったのだ」
「そうであったのか」
夜使は全てを察したのであった。
「だからこそだな」
「シリウスよ」
そして不動からもシリウスに告げてきた。
「帰って来るのだ。我々の中に」
「私が。人間だからか」
「そうだ。だからこそ」
「しかし」
それでも彼はここで。躊躇いを見せるのだった。
「私に戻ることは。敵となった私に」
「御前、まだそんなことを言いやがるのか」
「兄さん・・・・・・」
アポロだけでなくシルヴィアも声を出した。
「そんなこと言ってもよ」
「兄さん。兄さんの居場所は」
「いや、私の居場所はロンド=ベルではない」
それをあくまで否定しようとする。
「袂を分かった私には」
「そんな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ