第百三十八話 アトランティス
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速いからだ。
「頭使」
「わかっている」
頭使は両使の言葉に苦々しく応えた。
「このままではな」
「どうする?戦うか?」
追撃されるよりは、ということだった。
「ここは。そうするか」
「いや、今戦ってもだ」
ここで声を出してきたのは夜使であった。
「そなた達が死ぬだけだ」
「夜使」
「それが貴方の考えか」
「誰も失うつもりはない」
彼は言うのであった。
「それにだ。双使は見つかったのだな」
「うむ、それは確かに」
「既に先にそちらに向かっている筈だ」
「そうか。ならばよい」
それを聞いた夜使の声が安堵したものになった。
「ならばな」
「それでは我等も」
「帰るべきだというのか」
「そうだ。アトランティスに戻るのだ」
あらためて彼等に告げるのであった。
「いいな」
「だがそれではだ」
「翅なし達がアトランティスに来るが」
彼等が危惧しているのはやはりこのことだった。
「それでもいいのか」
「あの者達に我等の世界に入られても」
「来るのなら来ればいい」
彼の言葉は達観したものであった。
「それで全てがわかるのならばな」
「そうか。わかった」
「貴方の言葉ならば」
彼等も納得するのであった。他ならぬ天使達の長老であるからだ。その言葉を尊重し聞かないわけにはいかなかった。そういうことであった。
「では今から戻る」
「それでいいな」
「戻って来るのだ」
今の夜使の言葉は実に優しいものであった。
「ここにな」
「私もか」
シリウスもまた彼等に問うのであった。
「私も戻っていいのだな」
「当然のことだ」
夜使は彼に対しても優しい声をかけた。
「そなたもまた天使なのだからな」
「そうか」
「そして我々は」
ここで夜使の言葉が変わった。
「我々もまた」
「我々も?」
「いや」
シリウスの問いに応えて言葉を打ち消すのだった。
「これでな」
「そうか。ではいい」
「そなたも戻るのだ」
そしてまた彼に告げるのだった。
「いいな。今すぐだ」
「わかった。それではだ」
「では夜使」
音使も彼に言ってきた。
「我々も今」
「これで最後だ」
夜使はまた言った。
「何もかもがな」
「最後ですか」
「少なくとも何かが終わる」
このことは確かだというのだった。
「何かがな」
「・・・・・・・・・」
天使達は戻りそうしてロンド=ベルがその世界に入った。そこは。
「ここは」
「何だここは」
彼等は周囲を見回して言い合う。そこは天界のようだった。空の世界に塔が並び花が咲き誇っている。そうした世界がそこにはあった。
「ここがアトランティスかよ」
「この世界がか」
「そうだ」
また答える不動だった。
「では全軍戦闘用意だ!」
「そんなのとっくにで
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