第二部
第二章 〜対連合軍〜
百五 〜決着〜
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
数日後。
「歳三殿、お待たせしました」
疾風(徐晃)が、明命を伴って長安へと到着した。
使者に出した霞には、そのまま疾風と交代して虎牢関に留まるように命じてある。
「急がせて相済まぬ。だが、事は一刻を争う」
「御意。直ちに、捜索にかかります」
「うむ」
「明命も、いいわね?」
「お任せ下さい、雪蓮さま」
二人は一礼すると、姿を消した。
「あの二人に任せておけば問題ないでしょう」
「そうですね。とにかく、早く見つけないと」
頷き合う冥琳と朱里。
「そう言えば、残してきた祭や飛燕(太史慈)らは良いのか? お前がこうして私と共にいる事は遠からず知れるであろう?」
「ああ、それなら心配要らないわ。ねぇ、冥琳?」
「そうだな。歳三様、既に手は打ってあります故、ご懸念なく」
「ならば良いが。さて、我らも捜索に加わるか」
私が腰を上げると、冥琳がおや、という顔をした。
「徐晃と明命だけでは不安ですか?」
「そうではない。私だけがのうのうと報告を待つような真似は性に合わぬのでな?」
「なるほど、行動の人と言われるだけの事はありますね。すぐ身近に似たような者もいますが」
「ぶー、それってわたしの事?」
「ほう、自覚はあったのか」
「プッ!」
雪蓮と冥琳のやり取りに、朱里が思わず吹き出した。
「はわわ、す、すみません!」
「それだけ二人の仲が良いという証拠だ。そうであろう、冥琳?」
「ええ、仰せの通りです」
「ぶーぶー。なんか、冥琳が二人いるみたい」
全く、子供と変わらぬな。
手分けして当たる事とし、雪蓮と冥琳と別れた。
「では参るか、朱里」
「はい」
念のため、屈強の兵を数名伴っている。
無人と思しき宮城で襲われる事はあるまいが、用心に越した事はない。
ましてや、武はからっきしの朱里が一緒では尚更だ。
「無駄に探し回る訳には行くまい。この図面に従って順に当たる」
「御意です。それにしても、こんな物を用意していただけるとは」
感心したように、朱里は図面を覗き込む。
疾風を呼び寄せる際、杜若(劉協)に依頼した物だ。
彼女が記憶している限りの、宮城の間取りが記されている。
表向きの部屋のみならず、抜け穴や地下室の類いまである事に少々驚きではあった。
廷臣でもごく一部の者しか知り得ぬ機密であり、滅多に口外できる類いのものではない。
もし私がその気になれば、如何様にも悪用出来るであろう。
「殿下にとっても、陛下の事がある。他人事ではないのだ」
「そうですね……。でも、ご主人様が殿下にそれだけ信頼されている事の証でもありますよね」
心なしか、朱里は嬉しげだ。
「期待に応えられているかどうかはわからぬが……。少なくとも、私は皇帝の地位になど興味はない。それ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ