第百三十一話 見抜いた罠
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だ」
彼女はクロッペンに対して最後の忠誠を捧げるつもりだったのだ。
「ここは守るぞ。いいな」
「ええ、それでは」
「防ぎます!」
彼女達は何としても戦おうとする。しかしシンクラインが直率する帝国軍の力はかなりだ。そしてそれにより何とか追撃を止めていた。だが。
「あの戦艦を狙え!」
「わかりました!」
シンクラインの指示の下彼等はミズカの戦艦に攻撃を集中させる。それで。
「ぐわっ!」
「うわっ!」
攻撃を次々に受け艦のあちこちから火を噴く。そして遂に炎に包まれたのだった。
「閣下、最早!」
「このままでは!」
「くっ、わかっている」
ミズカも歯噛みするしかなかった。
「このままでは。この艦はおろか」
「追手も防げません」
「最早」
「いや、それでもだ」
だがそれでもミズカは諦めてはいなかった。
「我々はそれでも。戦わなくては」
「それはわかっています」
「ですが」
彼等もその言葉を戸惑わせていた。既に艦橋の各部も火を噴いている。
「最早我が軍は」
「これでは」
「何としてもだ」
だがそれでもミズカは諦めていなかった。
「ここは防ぐ。よいな」
「・・・・・・わかりました」
「覚悟は決めています」
彼等は既に沈むことが決定的な艦でまだ戦おうとする。しかしそれでもだった。帝国軍の攻撃は激しい。それにより今まさに押し切られようとするその時だった。
「!?あれは」
「間違いありません」
ここで黄金とファーラが声をあげたのである。
「あの戦艦は」
「そうです、シンクライン皇太子のものです」
彼等はそのことに気付いたのである。
「あいつを倒せばこの戦いは終わる!」
「そうです、帝国の実質の最高権力者を倒せば!」
そして口々に仲間達に言うのだった。
「ここは何としてもあいつを!」
「倒しましょう!」
「そうです。やりましょう!」
錫石も言った。
「あいつを倒して!」
「そうだ、行くぞ!」
「皆、やるぞ!」
青銅と黒銅も言う。
「ゴライオンだけでも!」
「黄金!」
「わかっているぜ!」
黄金もまたここで応えてゴライオンを進ませる。ロンド=ベルの面々もそれを見て一気に続いた。
「よし、ゴライオンに続け!」
「シンクライン、覚悟しやがれ!」
一気に帝国軍に雪崩れ込む。それにより帝国軍の側面を衝いた。
これで帝国軍は総崩れになった。最早追撃どころではなかった。
「くっ、殿下!」
「ロンド=ベルが!」
「おのれ、ここぞという時に」
シンクラインもそれを見て歯噛みした。
「来たというのか」
「この艦に向かっています」
「どうされますか?」
「止むを得ん、撤退だ」
こう言って己の艦を退かせる。
「後詰は任せたぞ。よいな」
「は、はい」
「それでは」
他
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