先輩方の会議と次の方針
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論する。
「確かに、称号とか異名は誉れその物だ。現に、タンジア港付近にある島にモガ村ってのがあってな……そこでの功績から上級ハンター入りして『海蛇』の称号を与えられては居るんだが……」
「え!? 何それ初耳! モガ村なんて割りと近くじゃん。船とかの乗継とか確かに面倒だけど、行けない距離じゃないし、俺会ってみたい!」
さっきまでの仏頂面は何処へやら……お星様が浮かぶほどに瞳を輝かせた大吾が机に乗り出して言う。
「生憎と、今は弟子の育成の為に揃って武者修行に出て世界の何処かだ」
と、顳?をひく付かせた朱美がぶった切った。
朱美の言葉で、大吾は夢に敗れたように、がーん、と机に突っ伏した。
「で、その人狼ってモノは、本来は対人執行官に与えられる物に近いものらしくてな……定着しちまった上にギルド内も色々あって、収拾が付かないのかそのままになってるみたいだけど……」
対人執行官とは、ハンターによる犯罪が発覚すれば現地に派遣される捜査官のような物なのだが、実の所その本質は処刑人であり、ギルドの暗部として忌み嫌われる物でもある。
「……対人執行官? えっと、それにはヴォルフみたいな凄いのがわんさか居るってのか?」
「や、流石にそれは無いだろ。ま、アイツはそれだけ強いってことなんだが……」
「ちょっと? 話が逸れてるんだけど?」
朱美の言葉に一鉄と正太郎が一瞬硬直し……
「……で、ヴォルフがこの件を知ったらどう動くって?」
やや時間を置いてから、正太郎が尋ねた。どうやら先程までの会話を忘れてはいなかったようだ。
「推論に過ぎんのだが……ストラディスタは以前、自分を嵌めた連中の中から内部告発した奴の命を守って、他の奴等を斬った事があったんだが……」
ヴォルフが起こした事件の中でも有名な物だ。
事が大きくなった原因は、夜とはいえ住宅街でヴォルフが刀を人に向けて、しかも相手を皆殺しにした事だった。
現場は血の海で、最後の一人が助けを求めて民家に入り込んだ事で、事態がややこしくなった。
ヴォルフは何の躊躇いも無く民家へ上がりこみ、その者すらも斬り捨てたのだ。斬られる事は無かったとはいえ、目の前で人がナマス切りにされる光景を見た上に血の雨を浴びた一般人は……
「オイオイ……」
流石の正太郎もどうフォローして良いのか見当も付かない。
「ま、元々向こう側が全部悪い上に、ギルドの連中の中にもストラディスタを焚きつけるような真似した奴が居たこともあってか、彼自身は特に御咎めは無かったんだが……」
朱美は一旦言葉を切って全員を見回した。
「彼ね……人を斬る事に躊躇いってのを感じないみたいなんだ。特に悪党の類にはね」
それがどういう事を意味するのか……
「つまり間違いなく、今回の件を
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