先輩方の会議と次の方針
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調べなんて付けようがねえだろが」
「調べようにもサイガまで徒歩じゃ往復で四日は掛かるしね」
掴みかかろうとした正太郎を卓也が嗜める中、大吾は変わらず豆を食べながら言った。
「だが一番の問題は、そもそも依頼書が存在しないことだ」
一鉄がボサボサの髪をガリガリと掻き毟りながら、忌々しげに言った。
「は? 確かに荷物はなくしたけど、サイガのギルドに行けば……」
「そもそも、それが無いんだよ」
正太郎の言葉を朱美が遮った上で断言した。
「……どういうこった?」
「村長から聞いたんだが、ホトケになっちまった連中な……依頼をギルドに通してねえんだよ」
卓也が溜め息混じりに答えた。
「ちょっと待てよオイ……それじゃ……」
「ああ、サイガのギルドは今回の件で誰が動いたのかを全く知らないってこった。これでホシが余所者だったら手の付けようがねぇよ」
卓也の言葉通り、ギルドを通した依頼ならば「依頼人」と「請負人」がハッキリと明記される。
今回はサイガからユクモまでの護衛が任務であり、依頼達成の報告書は後日ユクモからサイガへと送信する仕組みになる……本来ならば。
だが、ギルドを通さない依頼とあれば、そういった書類の類は一切存在しない為、誰が依頼人で誰が請負人なのかが完全に不明となる。
「ギルドへの依頼仲介料をケチりたかったのか、請負人が出るまで掛かる時間が嫌だったのか、書類作成が面倒だったのか……ま、確かに時間掛かるよね。他所から来た人間には特にさ」
「で、サイガで適当に声を掛けた奴が不良ハンターだったか、若しくは不良ハンターの方から口車に乗せたのか……何れにせよ、ふざけた事してくれるな」
「全くだ」
「でもよ、誰かがそれを見てねえとは思えねえんだが?」
「あのな、正太郎」
一鉄が溜め息混じりに正太郎を見た。
「こんな馬鹿げた事をやって退ける奴等だぞ。流れ者くらいしかいないだろ? サイガ全体でグルやってるワケないし、やる意味もない」
一鉄は一旦言葉を停めて白湯を湯呑に自分の注いだ。
「だが、目撃者は必ずいる。それを探すところから始めれば良い……連中がそれまで近くにいれば何とかなる」
「そうか。そうだよな」
一鉄の言葉で、正太郎の顔にようやく笑顔が浮かぶ。
「そんな訳でまずはサイガにまで行こうと思うんだが……生憎と、アタシは銃が無い。テツは剣が無い。ダイゴは楯が無い。タクの太刀は修理中。オマケにただでさえ少ないこの村のハンターは、夏空達以外皆出払ってる」
と、朱美が喜びをぶった切るかのように言った。そう……全員が先日の件で武器を失っているか使用不可能に追いやられている。
つまり比較的安全かもしれないが、それでも道中では何が起こるかわからない。道中の危険に対し成す術がない為に調査のしようがな
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