第5章 契約
第51話 湖の乙女
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たのなら、この読み解きが正しい。
しかし……。
「何らかの代償を差し出す事によって、願いを叶える。この類の魔法のアイテムなのか?」
更に続けた俺のふたつの問いに対して、湖の乙女……いや、ミーミルの井戸の管理を行っているのなら、ミーミルと表現すべきですか。
ミーミル。北欧神話に語られている賢者の神。オーディンの相談役とも言うべき神で、オーディン自身がそのミーミルの支配するミーミルの泉の水を飲む事で知恵を身に付け、魔術を会得したと伝承では語られている。
但し、オーディンは、その時の代償として左目を差し出した。
そして、湖の乙女ヴィヴィアンと賢者の神ミーミルとの類似点は、ベイリン卿により首を刎ねられた後も、アーサー王伝説に登場し続ける湖の乙女と、
ヴァン神族により首を刎ねられた後にも、オーディンの相談役として北欧神話に登場し続ける賢者の神ミーミル。
それに、両者とも、共に水に関係する存在。
確かに、今、俺の目の前に居る少女姿の神霊は、賢者の神と言っても不思議ではない雰囲気を纏っては居ます。
「ミーミルの水とは、代償を差し出す事により、あらゆる望みを叶える存在」
その、湖の乙女があっさりと答えた。確かに、魔法を使えるようにする水と言うのも十分に厄介な代物ですが、あらゆる望みを叶えるアイテムと言うのは……。
まして、現在、起きつつ有るラグドリアン湖の異常増水と言うのは……。
「そのミーミルの井戸の暴走によって水があふれ出している。そう言う事やな」
俺の問いに、コクリとひとつ首肯く事によって肯定と為す湖の乙女。
そして、
「現在、ミーミルの井戸は、世界樹の護衛用の龍が暴走した存在。ニーズホックに護られて居り、わたしにも近付けない状態」
……と、彼女に相応しい口調と声で、そう答えた。
この少女でも近付けないって、それは、どれだけ危険な状態だと言う事なのですか。
あの夢の世界では、彼女は間違いなく俺の霊力を制御したはずです。少なくとも、今のタバサと互角以上の実力は有していると思うのですが……。
「つまり、オマエさんと共に、そのミーミルの井戸を閉じる作業をやれば良い、と言う事やな」
そうすれば、タバサの仕事も解決するし、湖の乙女もミーミルの井戸を閉じる事も出来る。それに、代償を払う事によって望みを叶えるような危険なアイテムが、世界中にばら撒かれる事もなく成る。
俺を真っ直ぐ見つめた後、強く首肯く湖の乙女。
前回の夢の事件の時もそうだったけど、この娘も、俺がじっと見つめて反応を確認し続けていなければ、細かな感情の動きが判らないのですが……。
「……と言う訳やから、タバサと、俺と、そして、湖の乙女の三人で、今回の
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