第百十話 ネゴシエイター
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うと」
「この街には何でもあるな」
加持もいた。
「そう、今ここでコーヒーを頼むことができる」
「はい、そうです」
「しかも最高級のコーヒーだ」
加持は八雲に応えていた。
「だが」
「だが?」
「これだけ高度に都市化している場所でどうやって手に入れるか」
「その問題ですか」
「郊外のその農園にはコーヒー畑もあった」
加持はそれも見ていた。
「しかしこの豆はなかったな」
「それですか」
「外界と接触はない筈だ」
加持は今度はこのことを述べた。
「完全に孤立したパラダイムシティ」
「はい」
「それでどうしてこうしたコーヒーが手に入るのか。そしてその他の様々な、しかも豊富な物資は何処からやって来るのか」
「考えてみればおかしな話ですよね」
キムも彼の言葉に頷く。彼等は怪しまれないよう普段着であった。シャッフル同盟の面々はそうではないが。
「考えてみれば一つの街だけで存在できる筈がないです」
「しかし存在している」
加持はまた言う。
「しかも四十年前からの記憶がない」
「物語としてはあれね」
ミサトがここで述べた。
「あまりにも矛盾が多くて。ミステリー中のミステリーね」
「しかもロボットまでいるんだから」
リツコが言うのはここに来た時にシュウが話したロボットだ。
「さらに訳がわからないわ」
「鍵はそのネゴシエイターになるか」
加持が注目するのはその彼だった。
「会えればいいけれどな」
「あれっ、そういえば」
ミサトがふと気付いたような声を出した。
「ドモン君は?まだ情報収集してるの?」
「あの人ならレインさんと一緒ですよ」
恵がミサトの問いに答える。
「それで今も」
「そう。レインちゃんも大変ね」
ミサトはドモンではなくレインを気遣うのだった。
「ずっとドモン君のお守りなんだから」
「あれだけとんでもない人いるなんて思いませんでした」
キムは真顔でミサト達に語る。
「人間ですよね、一応は」
「一応はね」
ミサトも一応という言葉を出す。
「人間よ。身体が普通じゃないだけで」
「普通じゃないんですか」
「どう見てもそうでしょ」
ミサトも容赦がない。
「あれは」
「はい、それは」
「それにもっと凄い人がいるから」
「あっ、聞いてます」
ここでまた恵が言ってきた。
「マスターアジアさんですよね」
「そうよ。流派東方不敗」
彼女達の本来の世界では最早伝説の存在である。
「素手で何でも破壊するしいきなり出て来るし」
「しかも不死身なんですよね」
「まず死なないわ」
ミサトもそのことはよくわかっていた。
「原爆の直撃を受けてもね。絶対にね」
「そうらしいですね」
「シュバルツ=ブルーダーっていうのもいるし」
彼についても話すのだった。
「あの人
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