第百八話 青い血の謎
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い」
鳥飼は身体のあちこちから青い血が流れていた。しかしそれでもまだ立ち上がろうとしていた。闘う意欲はまだ失ってはいなかったのだ。
「あいつには。俺こそが」
「これは命令よ」
神名の言葉がさらに強くなった。
「わかったわね。下がりなさい」
「くっ・・・・・・」
「死ぬことは許さないわ」
言葉はさらに強くなった。
「いいわね」
「何故ですか!?俺は」
「人間だからよ」
今度の言葉は絶対のものだった。
「貴方も。人間だから」
「俺が・・・・・・人間・・・・・・」
「そこまで綾人に、いえあの娘によね」
「朝比奈・・・・・・」
彼にはすぐにわかった。
「あいつに・・・・・・」
「彼女が綾人に行為を持ってるのに気付いているわね」
「はい・・・・・・」
このことは素直に頷くしかなかった。
「その通りです」
「だからこそよ。貴方は人間よ」
「だからだというのですか」
「誰かを好きになりその誰かに執着する」
神名はまた言う。
「それが人間でなくして何というの?」
「くっ・・・・・・」
「わかったわね」
これが止めになった。
「下がりなさい。そして生きなさい」
「生きるというのですか」
「そうです。人間として」
また言うのだった。
「生きなさい。他の皆もね」
「他の!?」
「戦闘は終わりです」
神名は今度は全てのムーリアンに対して告げた。
「ですから。これで」
「しかし博士」
「それは」
周りの者達がここで神名を止めようとする。
「我等ムーリアンは」
「我等の悲願は」
「元よりそんなものはなかったのです」
神名の言葉は鳥飼に向けたものと同じく強く有無を言わさないものだった。
「ムーリアンであっても人間なのですから」
「人間・・・・・・」
「青い血」
今度はこの青い血について言及した。
「青い血が流れているというだけだったのですから」
「・・・・・・・・・」
これで終わりだった。東京ジュピターでの戦いは終わろうとしていた。しかし作戦はその中でも進行し続けているのであった。
「戦いは終わりました」
「うむ」
一色は八雲の言葉に頷いていた。
「そうだな。しかし」
「障壁ですか」
「そうだ。絶対障壁だ」
彼が言うのはそれだった。
「それを破り東京ジュピターに侵入する」
「今がその時ですね」
「そうだ。ドーレム達が退き戦闘に勝利した今こそがだ」
彼は冷静に戦局を見ていたのだった。
「その時だ。いいな」
「はい。既に準備は整っています」
八雲は彼に答えた。
「障壁を取り除く用意は」
「なら今こそだ」
一色はまた言った。
「発動しろ。いいな」
「了解です」
モニターに映る東京ジュピターをペンタグラムが包み込んだように見えた。それが消えた時には。他
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