約束
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言う。その問いにヒースクリフは小さく頷く。
「そうとしか考えられない。アスナ君の報告では七十四層もそうだったということだから、おそらく今後全てのボス部屋が無効化空間と思って間違いないだろう」
「バカな……」
「チッ……狂ってやがるぜ」
キリトは嘆息し、ゲツガは舌打ちした。緊急脱出が無理となると思わぬアクシデントでの死亡の確率が上がってしまう。死者をださない、これがこのゲームの攻略する上での大前提だ。だが、ボスを倒さなければクリアもありえない……。
「いよいよ本格的なデスゲームになってきたわけだ……」
「だからと言って攻略を諦めるわけにはいかない」
ヒースクリフは再び目を閉じると、ささやくように、だがきっぱりとした声で言った。
「結晶による脱出が不可な上に、今回のボス出現とともに背後の退路も絶たれてしまう構造らしい。ならば統制の取れる範囲で可能な限り大部隊を突入させる。新婚の君達を協力させるのは不本意だが了解してくれたまえ」
ゲツガとキリトは一度互いの顔を見合わせて肩をすくめた。
「協力させてはもらいますよ。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。もし危険な状況になったら、パーティー全体よりも彼女を守ります」
「同じく。俺もユキのほうが大事だからキリトと同じようにそうさせてもらう」
そうゲツガたちが言うとヒースクリフはかすかな笑みを浮かべる。
「何かを守ろうとする人間は強いものだ。君達の勇戦に期待しているよ。攻略開始は三時間後だ。人数は君達四人を入れて三十二人。七十五層コリニア市ゲートに午後一時に集合だ。では解散」
そういった後、紅衣の聖騎士は立ち上がり、配下とともに部屋を出て行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「三時間か……」
ヒースクリフが出て行った後、数分後に部屋を出たゲツガとユキは階段を下っていた。
「ああ」
ゲツガもユキもいつもなら口数の多いはずだが衝撃的なことを聞いたため、互いにあまり喋っていない。階段を下り終え、ドアの前まで来ると後ろから抱きつかれた。
「私、怖いよ……」
ユキが泣きそうな声でゲツガの背中にぎゅっと顔を押し当てる。身体も震えている。
ゲツガはゆっくりとユキの手を外して、ユキと向かい合う形になる。そしてユキを優しく抱きとめる。
「大丈夫だ。お前は何があっても俺が守ってみせる。だから心配すんな」
「でも、またゲツガ君にあんなことがあったら……」
ゲツガはあんなことと言われてすぐに理解する。
「大丈夫だ、二週間一緒に過ごして、一回しか起きてないだろ?それにあれが起きた後、一回も起きてないだろ」
そう言ってユキの頭を撫でる。
「本当に
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