第百三話 皇太子シンクライン
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第百三話 皇太子シンクライン
「ぐはっ!」
「がはっ!」
「馬鹿者共が!」
鞭の音と呻き声と罵声が同時に響き渡った。
「地球一つに何を手間取っている!」
「も、申し訳ありません」
「重ね重ね御赦しを」
「ふん、まあいい」
そこには紫の肌を持つ傲慢な雰囲気に満ちた青年がいた。
「貴様等には期待してはいなかった」
「返す言葉もありません」
「しかしだ」
ここで彼は言うのだった。
「私が来たからには違う」
青年はさらに言葉を続けてきた。
「このガルラ帝国皇太子であるシンクラインがな」
「では殿下御自ら」
「兵を率いられるというのですね」
「それだけではない」
彼は今しがた自ら鞭打った将軍達に告げた。
「帝国軍の主力の集結を命じた」
「この地球にですか」
「そうだ」
こう言うのである。
「この地球にな。その圧倒的な戦力で地球を制圧する」
「一気にですね」
「まずはその手はじめにだ」
シンクラインの顔に邪悪な笑みが浮かんだ。
「ロンド=ベルといったな」
「はい、あの連中です」
「以前はマグネイト=テンといいました」
「そしてあの忌まわしいゴライオンも奴等と合流しているな」
「その通りです」
「あのゴライオンもまた」
彼等はシンクラインの問いに答えるのだった。
「ロンド=ベルに合流しまた我々の邪魔をしております」
「そしてその損害は」
「ならばだ」
シンクラインはその話を聞いて述べてきた。
「ゴライオンだ」
「ゴライオンをですか」
「そうだ。次の攻撃で集中攻撃を浴びせるのだ」
腕を組みつつ将軍達に告げた。
「それでいいな」
「は、はい」
「それでは」
「まずはゴライオンだ」
シンクラインのその濁った目が光った。
「奴等を倒し。その後でそのロンド=ベルとやらを料理してやろう」
彼はその考えで今ロンド=ベルとの戦いに向かうのであった。
ロンド=ベルはインドからインドを横切ってバングラデシュに入ろうとしていた。とりあえずインドではこれといって敵には出会わなかった。
「まあここでは平穏だよな」
「そうだったな」
皆そのことに少し安堵していた。
「とりあえずはな」10
「このまま日本まで行きたいものだな」
「ふん、笑止」
しかしその言葉にはケルナグールが反論した。
「敵がいてこそではないのか。我等は」
「何だケルナグール、また退屈しておるのか」
「如何にも」
カットナルの問いにも答える。
「相手がおらぬこと程つまらぬものはないぞ」
「相変わらず戦いが好きだのう、御主も」
「人のことは言えんと思うが?」
ケルナグールはこう言ってカットナルを見た。
「御主もうずうずしておるのだろう、今は」
「ふん、気付いておったか」
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