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第四話 百年後、異世界
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だけ頬に赤みがさしていた。
「そんなアリスちゃんが考えて実行していそうなことせえへんよ。本当に食べさして上げる。」
「ほ、ほんとか?」
ひさめの言葉で誠也の声に喜色が混じる。
「うん。その代わり………。」
ひさめは先ほどまでにやにやという程度だった笑みを、ニヤァと言わんばかりに笑みを深める。
それを見た誠也の脳裏には嫌な予感がちらついていたが、ハンバーグを食すと言う欲望の前に、それを無視した。
「………。」
ひさめは誠也に耳打ちをする。
一体何をしゃべっているのかはアリスとグレイルの二人には聞こえない。
ただ、おそらくろくでもない要求であろうことは、二人に予想できていた。
「で、できるかそんなことー!!」
案の定、誠也が顔を真っ赤にしながら勢いよく立ちあがる。
顔を真っ赤にしているところを見ると、恥ずかしい内容だったのだろう。
しかし、ひさめはそれに動じない。
「そうなんかー。それやったらこのハンバーグはなしの方向で………。」
ひどく残念そうな表情であるが、その顔には誠也に気付かれない程度のわずかな笑みがあった。
「い、いや。ちょっと待て。」
「なんや?言ってくれるんか?」
「言えるか!」
「それやったら、ハンバーグは………。」
「ま、待て!」
「なんやの、誠也君。言うんか言わないんか、はっきりしいや。」
「ぐっ………。」
誠也の中では大きな葛藤が渦巻いていた。
言うのか、言わないのか。
言えば高級ハンバーグを食べられる。それはおそらく三カ月、下手したら一年以上食べられないだろう。
できるのならば逃したくはない。
言わないのなら、恥ずかしい発言をする必要がない。
それを公衆の面前で発言するとは屈辱の極みである。
極力避けたい。
誠也はそんな葛藤の中で迷っていた。
「はよう決められないんやったら、この話はなしやで?」
ひさめが決断をせかす。
誠也は迷いに断ち切った。
所詮、一時の恥。耐え忍ぶべきであると。
「わ、分かった。言う。」
「おおー!」
ひさめは誠也の決断に喜ぶ。
「さあ、言ってや。」
ひさめが誠也の言葉を促す。
思わず隣で成り行きを見守っていたアリスとグレイルもどうなるのかと身を乗り出す。
あたりには静寂が立ち込めていた。
そんな中で誠也は羞恥に震えながら、口を開こうとする。
そして誠也が口を開いたその瞬間。

pipipipi

「あー、ごめんね。いいところだったのに。」
緊張した静寂の中、ある意味で空気を読んだ電子音の発信元はアリスであった。
アリスは制服のポケットに入れてあった己のデバイスを取りだす。
「どうしたの?バルディッシュ。」
取り出されたデバイスは黄色い三角形のデバイスであった。
『Sir, emergency call.』

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