第十三話 鏡月
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アの手に握られているというプレッシャー。
スユアはそこでふとユナの顔を見る。
その顔には、勝利の笑みが浮かんでいた。
これで、お前が上がる手段はない、あとはお前の手で私を上がらせるんだ、というそんな声が聞こえてきそうだった。
だが、そこでスユアは折れなかった。
不敵な笑みを浮かべ。
そのカードを、引く。
一見すれば、無謀、敗北へ近づくその一手。
だが、スユアは、高らかに宣言する。
「ツモっ!」
スユアのその声に、ユナは停止する。
なんで……何故……ダイヤの1は捨てたはずなのに……!
だが、そんな疑問は、公開されたスユアの手札を見て、あっけなく解消する。
「あっ……」
引いたのはダイヤの9。
ストレートフラッシュ……!
ユナは、単純なことを見落としていた。
ロイヤルストレートフラッシュに拘り、ストレートフラッシュが見えていなかったのだ。
「……あちゃー」
ナイトはそれを見て残念そうな顔をするが。
スユアとユナは、笑っていた。
「いやー。 あはは、最後の最後に見落としとは……。 やっちゃったなぁ、私」
「いえ、貴方もよくここまで勝ちに拘り、善戦したわ。 ギャンブラーとして、その勝利への執念と、闘争心に敬意を表するわ」
そこでスユアは、ユナへと手を差し伸べる。
ユナは、それを見て、極自然に、己も手を差し出し、固い握手を交わした。
それを見て、レイカは一息つくと。
「さて、それじゃ、そこのナイト君。 アイテムを渡してもらおうかな」
そう言って、ナイトへと視線を移す。
「……ううっ」
ナイトは目を泳がせながらどうにかして逃げようと悪知恵を働かせていたが……。
「わ、わかった。 渡す。 それでいいだろ」
最後はそう素直に折れ、レジストリを開き、アイテムを取り出した。
「……なんだ、これ変なアイテムだな」
そのアイテムを眺めながらナイトがそう口にしたと同時に。
レイカが横からそのアイテムを半ば強引に奪い取り、それをそのままユイフォーへと投げた。
「ああっ! 何も強引に奪うことないだろ」
ナイトはすぐにレイカのその行動に激怒するが。
レイカは呆れたような顔で。
「こうでもしないと君は渡さなかったかもしれないからね。
それに、あれ持ってたら、君死ぬよ?」
「はぁ? 死ぬとかはったりやめろよ。 お前忍者だろ。 汚いなさすが忍者きたない。 素直に謝……」
そこまでナイトは口にして、ユイフォーへと視線を向けると同時に黙る。
ユイフォーは、渡されたアイテムを、その場でデータにして分解し、削除してみせていたからだ。
ゲーム中ではまず見ないその光景に、ナイトはしばらく黙った後。
何を思ったか、顔面が一気に蒼白になると。
「ま、まぁ。 ヤバ
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