第十三話 鏡月
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そこでシャムは、飽きれたようにため息をつく。
「ギャンブラーってのは、どうも、負けず嫌いが多いんだよね。
勝ちか負けしかないし、運任せだってのに、どうして負けるのがイヤなのか。
私にはさっぱり理解できないところだけど……。 まぁ、きっとそこには、そうならないとわからないものがあるんだろうね」
そう言って、シャムは壁によりかかり、ユイフォーへと視線を向ける。
「ま、もう少し見てなよ、ユイフォー。 結果は兎も角、バカ同士の戦いなんて、早々見れるもんじゃないからね」
そんな言葉をかけられたユイフォーは、暫く黙った後、首をかしげて。
「……私には、何が楽しいのかよくわかりません」
なんてことを、淡々と口にした。
しかし、そんな彼女に対し、シャムは薄く笑うと、スユアとユナへと視線を移す。
この時点で、シャムはなんとなくわかっていたが、それでも目を離さずにはいられなかった。
それは、シャムにとって、この戦いは、文字通り、心躍るものだったからだ。
スユアとユナが交互に山札から引き、札を捨てていく。
そして、気がつけば、山札は残り三枚。
まさに偶然、奇跡。
その時点で、ユナは気がついていた。
スユアの待ちに……!
ダイヤの1。 それが危険牌。
だが、ユナがここでスペードの13を引けば、自動的に勝利となる。
だからこそ、ユナはここでオープンリーチを仕掛けた!
勝負は、ここ!
「……ッ! 来い! 来いっ……!」
ユナはズルリとカードを引き抜くと。
それを、傍目で確認する。
と、同時に……。
そのカードを、捨てた!
捨てられたカードは……クローバーの9!
「……!?」
そこで、スユアは困惑する。
クローバーの9……!?
それは、初めの方に捨てられたカード。
なのに、今、何故……!?
そこで、ユナの捨て札を確認すると。
何故か、初めの札を見ると……ダイヤの1があるっ……!
停止する思考と、困惑する頭のまま、スユアは手が止まる。
そこで……気づいた。
まさか、捨て札の位置を変えて、紛らわせた……!?
いや、それしかありえない。
けど、ここでそれを宣言したところで変わるわけではない。
既にそのタイミングは過ぎている。
それよりも、今はどう上がるか……!
残るカードは二枚。
二分の一の確率で、スペードの13……ユナの上がり札。
もし、それを引けば、どちらにしろ上がることは出来ない。
しかし、流局、ということも可能。
それならば、スユア達の自動的な勝利となる。
だが、そんなことは、ギャンブラーであるスユアのプライドが許さない。
ここは、ちゃんと勝って終わらせたい。
故に、次のカードが運命。
それが、スユ
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