暁 〜小説投稿サイト〜
26歳会社員をSAOにぶち込んで見た。
第十三話 鏡月
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、だがッ!!!
 ユナがハートの5を切り、スユアの番に回ったその時。
「リーチ!」
 スユアは、手札からダイヤの4を捨て、リーチを仕掛けた。
 危険を冒してまでのリーチ。
 ユナは、その事態に理解できずにいた。
 それもそのハズ。
 こんな無謀な行為は、スユアのギャンブラー魂によるものである。
 スリルでリスクを削るギャンブル。
 それが、スユアの最も好むところで、改心したスユアなりの拘りだった。
 ユナの番に周り、ユナは思考を必死で張り巡らす。
 出ているカードと、相手の手札を予想し、計算を繰り返す。
 山札から引いたカードは、ダイヤの3。
 そこで、ユナの手が止まる。
 『危険牌』
 脳裏にそんな言葉が焼きつき、カードを捨てられない。
 だが、捨てるしかない、その状況で。
 ユナの脳裏に過去の記憶がフラッシュバックした。
 煙草の匂い、牌を打つ音、見知った三人の仲間達、転がった缶ビール。
 そして、窓の外で白んでいく空。
 あの頃学んだものはなんだったのだろうか。
 あの頃遊んだ仲間達から教えられたものはなんだっただろうか。
 あの頃の青春は、無駄だったのだろうか。
 いいや……無駄なものなんかではない。
 あの頃の、ユナの、否、彼の青春は……。
「博打とはっ!」
 突如、ユナは声を荒げてそう叫ぶ。
 そして、手札から一枚のカードを取り、場に叩きつけ、叫ぶ。
「諦めない度胸だっ!!」
 出されたカードはダイヤの3。
 それを見て、トリシルやファルコン、ござる、ナイト、レイカはユナの叫び声に驚いていたが。
 スユア一人だけは、違った。
 危険牌、ほんの数が1違うだけで直撃するその牌を、こう易々と切れる精神。
 勝ちへの渇望。
 最悪、自分の手牌を崩して安全に走るのではなく、勝ちに来たその意気込み。
 それに、スユアは痺れ、戦慄し、驚愕した。
 己と同じ、ギャンブルジャンキー、博打の中毒者。
 そんな心を、自分よりも年下の、こんな少女が持っていることに、心を打たれていた。
 同時に、スユアもユナを好敵手として認識する。
 同じギャンブルジャンキー。 博打中毒、ギャンブラー!
 それに対する対応は、スユアの本気だった。
 スユアは山札からカードを一枚引き、それを見ずに、その場に捨てる。
 それはどちらの上がりでもなかったが、ユナはそれに心震えた。
 一切の迷いもなく、これは違うと直感して、即座に捨てたその心意気。
 ユナは、笑みを浮かべた。
 それは少女としての笑みではなく、恐らく、彼本来の笑み。
 それに呼応するように、スユアも意地の悪い笑みを浮かべる。
 そんな二人の様子を、その場にいる人間の殆どは理解できなかった。
 今まで無言でそれを見ていたシャムを除いては
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