第4章 聖痕
第49話 太歳星君
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闘の間合いから下がった妖精女王がそう言った。彼女が直接封印に関わったのか、それとも、彼女の先祖が関わったのかは定かでは有りませんが、それでも、俺が彼女から感じている能力や雰囲気。そして、今までの態度などから考えると、彼女が虚偽の申告を行ったとは考えられない。
刹那。三方向に存在する太歳星君の一対の瞳が俺とタバサを映す。その瞬間、対呪殺用の呪符が効果を失くした事を感じた。
伝承に語られている太歳星君の能力から類推出来る魔法は呪殺などの呪い系。それ以外は、飛蝗を操る事。そして、三面六臂に因る直接攻撃。
「妖精女王。龍脈から太歳星君の因果を切り離して貰えますか?」
右腕を振り抜いた後、その身を颶風へと変えた俺が、一気に太歳星君との間合いを詰める。
舞うように、歌うように紡がれる古の知識。その呼びかけに応えて巻き起こりしは魔風。全てを斬り裂き、巻き上げ、切り刻む魔界の風。
地中を進む、そして木星の属性を持ち、赤き身体の祟り神に効果が有るとするなら、それは乾いた風。木行が支配する湿り気の有る風ではなく、すべてを乾燥させる乾いた風。
俺が放った剣圧と、タバサが起こせし閃き刃を孕みし魔風が三面六臂の化生を襲う!
袈裟懸けに斬り裂かれた身体から呪力を撒き散らし、風を孕みし刃が太歳星君を傷付けて行く。
しかし、声に成らない声。咆哮に成らない咆哮を上げる祟り神。
その咆哮が発せられた瞬間、タバサが呼び出した魔風を霧散させ、身体の傷は次の瞬間から回復を開始した。
確かに、これではこちらに取って、分の悪い戦いにしかならない。
太歳星君に肉薄した瞬間、七星の宝刀が、俺の高まった霊力を受け、一際強く、蒼銀の輝きを発した。
そう。アガレスに因り強化された俺のスピードは太歳星君を凌駕したのだ!
『樫の木を回る妖精たちよ』
下段より閃いた銀光が、長剣を携えし太歳星君の右の腕を斬り飛ばす。
『古き塚の住人。ヤドリギの元に立てる美しき民。力ある良き民たちよ』
刹那、俺を打ち据えようと振り下ろされた棍を、後方から、体を入れ替えたタバサの魔術師の杖が跳ね上げた。
その速度も正に神速。普段の彼女には有り得ない、精霊を纏いし今の彼女の身体能力は強化を施された龍種の俺と互角。
『樫によって導かれる覚者の叡智よ』
しかし、そう、しかし!
棍に因る攻撃を無効化された太歳星君が、今度は右足を軸に、左足の踏み込みと共に槍を繰り出して来る!
そして、その槍の軌道をなぞるかのように発生する渦状の風。
但し、これは魔法に非ず。物理的な腕の捻じりにより発生した渦状の風が鎌鼬を発生させたのだ!
その、絶望の風が大気を巻き込み、真空状態となった空間が、俺の、そして、蒼き
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