第4章 聖痕
第49話 太歳星君
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気味に重なり合いながら、俺とタバサを捕らえ、世界は黒とも、そして焦げ茶とも付かない色に因って染め上げられる。
その黒き霞の如き集団と成った生命体に因り、一瞬の内に足元から包まれて仕舞う俺とタバサ。
しかし、その一瞬の後、発生する雷光。俺とタバサ。そして、彼女に支えられたイザベラを包み込み掛けた突然変異種の黒に変色した飛蝗を、俺の雷で消滅させ、その直後にタバサが飛び道具を防ぐ防御陣を敷く。
しかし、これで物理無効の呪が解除されたのは間違いない。
「飛蝗。貪欲な暴君とされる太歳星君の前触れには相応しいな」
少し、軽口に等しい台詞を口にする俺。それに、タバサやイザベラの二人に害が無かった事は幸いか。
そして次の瞬間、大地より現れしは巨大な肉塊。その巨大な身体全体が赤に染まり、奴の身体を覆う数百、数千に及ぶで有ろう瞳が、同時に俺達三人を睨む。
伝承によれば、これで俺とタバサ。そして、イザベラの親類縁者には逃れられない凶事が起きる事となる。
この凶事を回避する方法は……。
「奴を排除するしか存在しない」
再び襲い来る黒い砂嵐。いや、飛蝗の群れ。
しかし、その飛蝗の群れを阻む小さき蟲たち。
そう。あの炎の魔神と戦った異界の夜に、俺とタバサを護りし蟲が、再び、俺達を護ったと言う事。
その瞬間、爆発的な勢いで接近して来る赤い影。
黒い砂嵐に隠された瞬間に、姿を人間サイズに変えた太歳星君が、敵と認識した俺達に対して襲い掛かって来たのだ!
俺の右から斬り掛かって来る長剣を七星の宝刀により弾き、
同時に左より払われた槍を、タバサの魔法使いの杖が、下からすくい上げるようにして上方に躱す。
「な、何が起こっているんだい?」
ここに来て、ようやく目覚めたイザベラが声を上げる。但し、タイミングが非常に悪い!
長剣。槍。弾かれ、逸らされ、最後に残った棍がイザベラを襲う!
今まさに、イザベラの頭部を砕こうとした棍を握る腕の部分を右脚にて蹴り上げ、そのまま後方にトンボを切る俺。同時に、イザベラを自らの蟲に因って連れ去り、大地を滑るかのように後方に下がる妖精女王。
そして、その三面六臂の異形の化け物のがら空きと成った腹部に、タバサの霊気が生み出した氷の刃を纏いし魔法使いの杖が斬り裂いた。
周囲を朱に染め、轟音に等しい叫びを上げる太歳星君。
しかし、染め上げたのは血潮ではない。異形の化け物に蓄えられた呪力。赤き身体に蓄えられた濃密な呪を撒き散らしながら、後方へと退く邪神。
但し、そこまで。斬り裂かれた一瞬後には、既に回復を開始する太歳星君。
「彼を倒すには、彼と霊的に繋がった龍脈から切り離す必要が有ります」
イザベラを連れて、直接戦
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