第4章 聖痕
第49話 太歳星君
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しかし、最大レベルで加速された俺に等しい速度で迫る黒い影。
後方より接近しつつ有った黒い何かを、振り向きざまの右腕の一閃で無力化。
「済みませんね。一応、商人ですから、故人とは言え、正式な契約を交わした相手の依頼内容は完遂する必要が有りますので」
黒い炎を片手にて扱いながら、再び俺に対して黒い炎を放つソルジーヴィオ。
それは、刃の如く形作られた黒き炎の刃。
その数は六。
その一瞬後、今度は両手を振り抜く俺。
複雑な軌道を描きながら接近して来る六本の黒き炎の刃に、俺の両の腕から放たれた銀光が迫る!
そして、次の瞬間!
振り抜かれた両手より放たれた八本の銀光が、俺とソルジーヴィオの中心点よりも、やや俺寄りの地点で黒き刃を完全に相殺した。
「流石は、十字架に掲げられし救世主の属性を持たされつつ有る存在ですね」
軽く拍手を行いながら、戦闘中、まして、その相手に対して賞賛に等しい声を掛けるソルジーヴィオ。
そして、この一瞬の戦闘の間に、封印の井戸の底へと呪いに染まった心臓は消えて行った。
その一部始終を見つめたソルジーヴィオが、彼に相応しい笑みを俺に見せる。そして、
「はい。これにて、ブランシュー伯爵との契約は完了です」
本当に、何でも無い、一般的な商取引に過ぎない事を為したかのような雰囲気で、そう言う台詞を口にするソルジーヴィオ。
こいつの目的は、本当にブランシューとの契約の完遂だったと言う事なのか。
しかし、その完遂の為に契約相手を破滅させるって……。
まして、俺に聖痕が刻まれつつ有る事を知って居るのは、タバサと、俺に生け贄の印を刻みつつ有る存在。
それと、……そいつと争っている相手。
「それでは、後の事はお任せしますよ、皆さん」
遙か上空よりそう告げるソルジーヴィオ。その姿は終幕を告げる舞台俳優の如し。
その瞬間……、巨大な直下型の地震が発生する。
いや、これは違う。普通の地震に空気を激しく震わせる事が出来はしない。
玄武岩と思しき黒光りした巨大な環状列石に刻まれた文字……ルーン文字やオガム文字とは思えない漢字によって刻まれた文字が空中に映し出され、そして、直ぐに消えた。
そして、その刹那。それまでの中で最大の揺れが世界を襲った!
太歳星君とは木星と呼応して地中を動く肉の塊として表現される存在。そいつが無理矢理地上に呼び出されようとしている事に対する、世界自体の悲鳴。
速攻でタバサに接近し、次の事象。……邪神召喚に対応する俺。
再びの大地の鳴動。そして、走る大地の亀裂。
その刹那、その走った亀裂より発生する黒く、小さき生命体。
小さき虫たちが発する低周波に属する羽音が不
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