暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第49話 太歳星君
[4/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
命を失ったような記憶が有ります。そして、確かに彼がカロリング朝の最後の王で、以後はカペー朝が始まるのでは無かったかな。

「この国の法、サリカ法は貴女。妖精女王に認められた者が王に即位する為の物。しかし、その事件以後、貴女は人の世との関わりを断ったはずです」

 ……そう言ってから、ブランシュー伯爵は、彼に相応しい人を小馬鹿にした口角を上げるような笑みを浮かべながら妖精女王を見つめた。

 成るほど。シャルル・アルタニャンが現王を簒奪者と表現した理由が今更ながら判ったような気がしますね。
 この国のサリカ法を順守するのなら、妖精女王に言祝がれない王は、王を名乗っているだけの簒奪者に過ぎない、と言う事ですか。

 そして、脈々と繋いで来たガリア王家の血筋とは簒奪者の血筋。故に、シャルル・アルタニャンは現王を簒奪者と称したと言う事ですね。
 ガリアは二人の王。この場合は、王と女王に治められていた、と言う事ですか。

 人間を治めるガリア王と、霊的な存在を治める妖精女王。
 そして、両者の間の交流は、ある時期を境に一切存在しなくなったと言う事ですか。

「これは、古の盟約により手を貸しているに過ぎません。まして、其処に封じられている太歳を此の世に放たれたら、人間だけではなく、精霊たちにも害が広がる以上、貴方の行いを看過する事は出来ません」

 そう切り返す、妖精女王。
 しかし、西洋風剣と魔法の世界で、太歳星君の登場ですか。

 太歳星君。中国で木星が神格化された祟り神。中国の占星術で重要な位置を占める神で、地中に有る肉塊のような太歳の化身を侵すと、恐ろしい祟りを為すと言われる神でも有ります。
 そして、ソイツが封じられている上に宮殿を建設していると言う事は、ここに太歳(祟り神)が封じられている事を知らない人間に因って為されたとしか思えない以上、現在のガリア王家が、大地の精霊たちの女王で有るティターニアの加護を失っているのは間違いないでしょう。

 但し、確かに、もし本当に太歳星君が封じられていて、そいつが解き放たれるのならば、それは人間の世界以外。精霊の世界に取っても一大事。看過する事は出来ないとして、妖精女王が動く事は不思議な事では有りません。
 ただ、何故か引っ掛かりが有るのも事実なのですが……。

「おや、もう始まっているのですか」

 そんな、俺の思考が明後日の方向に進み掛けた刹那、俺達とブランシュー伯爵以外の第三の登場人物の声が、俺達の背後。具体的には、遙か上空から発せられた。
 その声は若い男性の声。但し、この邪神が召喚されようとしている緊張した空間内に相応しくない、かなり軽い調子の長閑な雰囲気を発して居る声で有りました。

 振り返り、仰ぎ見た俺の視界に映ったのは、年齢は俺とそう変わら
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ