第4章 聖痕
第49話 太歳星君
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。その空白を埋めるかのように、
「判っているのですか、其処で召喚を行うと言う事は、最悪の祟り神が召喚されるのですよ」
……と、妖精女王が、彼女から感じるに相応しくない、怒気を孕んだ口調でそう言った。
その妖精女王の言葉に対して、満足気に首肯くブランシュー伯爵。その対応から判断すると、これは想定された質問と言う事。ならば、当然、答えも用意されていると言う事なのでしょう。
「その為に、ガリア王家を焚き付けて、この地の地上にヴェルサルティル宮殿を造営させたのです」
そう言ってから、巨石の上に横たえられたイザベラに一瞥を与えた後に、タバサの姿を意味あり気に見つめるブランシュー伯爵。そして、
「この地に元から有った森は、これから召喚する邪神の邪気を散じさせる為に、貴女……妖精女王と、ガリアの古い王達が植え、育てた森。
そして、それだけでは足らず、地下の空洞に環状列石を造り、最後に井戸を用いて水を引く事により、森の勢いを増した」
土の邪気を払う為に、木を植え森と為し、その森に力を与える為に、水を引く。
これは……。
「しかし、それでは、折角の太歳星君の能力が削がれて仕舞う。故に、そこの小娘の先祖に兄殺しと王殺しの大罪を同時に犯させ、貴女。妖精女王を排除し、その後、この地に有った森を潰させて、ガリア。つまり、土の王国の中心となる宮殿を造営させたのです。
その小娘とここに眠るイザベラの曾祖父の代にね」
ブランシュー伯爵が、かなり壮大な陰謀の全容を口にした。それは、何代にも渡る規模の策謀。そして呪い。
タバサの祖先に王殺しを行わせ、妖精女王を排除する。更にその後に、森を切り開かせて、宮殿を造営させる。
これは、一代や二代で為せる策謀では有りません。
まして、タバサの魔法の属性は風。そして水。そしてそれは、彼女の父親も同じだったと聞いています。確かに、土の属性を帯びるべきガリアの王家としては相応しくない属性で有るのは事実。
この世界は、土と風はお互いに相反する属性のはずですから、土の家系に風の子供が現れたとしたのなら、それは忌み児。どう考えても世継ぎに任命されるとも思えませんから。
「後の世では、怠惰王と呼ばれたのが、最後のガリア王。それ以後は、すべて簒奪者の家系。故に、ガリア王家の人間に土の系統の人間が現れる事もなく、すべて風か水。つまり、アルビオンか、トリステインの王家の血を引くようになった」
ブランシュー伯爵が、タバサでさえ知らないであろう、王家の秘事を口にした。
怠惰王。もし、それが、俺の知って居る地球世界のフランスの歴史に於ける怠惰王とするのなら、怠惰王とはルイ五世の事。
確か、ルイ五世とは王位を継いだ後、一年後の狩猟中の事故のケガが元で生
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