After days
summer
水城家潜入
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ないか?」
「あんたのせいよ。あたしが昨日、真面目に質問したのに適当にはぐらかしてくれちゃって!!」
「昨日……?……あ」
螢がポン、と手を叩いて納得の表情を浮かべる。
「いや……な。悪かったよ。正直言うと、アレは嘘じゃないんだ。昨日、ああ言ったのは……その、恥ずかしくてな……」
決まりが悪そうに頭を下げる螢。里香もあっさり謝られたことに少し、呆気にとられているようだった。
「ふ、ふん。分かればいいのよ」
こうして、『螢をちょっとギャフンと言わしたろう同盟』の最終目的は完遂した。
___________________________________
それからは他愛のない話をして、それぞれ家路についた。
用事を思い出したというレオンは先に帰り、自分と和人と里香は螢に駅まで送ってもらっていた。
「ねえ、螢君」
「何だ?」
「里香から聞いたんだけど、『一生に一度しか恋はしない。それは永遠の片想い』って、どうゆう意味なの?」
もしかしたら、訊いてはいけないことなのかもしれなかった。
だけど聞かずにはいられなかった。あの寂しそうな表情の意味を知りたかった。
「……その通りの意味だ。俺は一生に一度の恋しか、しない。2度目は無いってことだ」
「……どうして?」
声は返って来なかった。人通りの少ない道に4人分の足音が響く。
しばらくして、螢が口を開く。
静かだが、確かな口調で、ただ寂しそうにその理由を告げた。
「……アスナを助けなければ、キリトは現実に帰って来れなかった。それと同じで、俺は大切な人を助けなければ、ここより前へ進めない。それだけだ」
駅までの最後の角を曲がり、駅前の喧騒が押し寄せてくる。
「また、明日な」
「……うん。ばいばい」
「おう。じゃあな」
「じゃあね〜」
駅の入り口で後ろを振り返る。螢はまだ、別れた場所に立っていた。やがてその姿も人混みの中へ消えた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ