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リリカルってなんですか?
A's編
第三十話 裏 後 (シグナム、アリサ)
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るすべをシグナムは知らない。ただ、理解できたのは、ヴィータがその言葉を紡いだ後にまるでその場からいなかったかのように姿を消したことを闇の書を通じて感じていたはずのヴィータの気配が綺麗に消失してしまったことである。

 ―――バカな、バカな、バカなっ!?

 何度も、何度も、何度もシグナムは己の内から闇の書へ向けてヴィータの気配を探る。守護騎士たちは一見、人間のようにも見えるが、しょせんは闇の書に付随する守護騎士システムという名のプログラム体である。よって、死んだとしても闇の書へと還るだけである。そう、そのはずである。しかし、闇の書からはヴィータの気配は感じられず、代わりに返ってきたのは、ぽっかりと何かが空いたような虚無感と意識もしていないのに頬を流れる一筋の雫だった。まるで、その雫が、二度と還ってこない仲間を悼んでいるようだった。

 どうやって? なんてことをシグナムは理解できない。しかし、誰が? というのはわかる。黒いバリアジャケットに身を包み、黒には似合わない桃色の杖を持っており、尋常ではない魔力を持っている女性以外には考えられなかった。

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 普段のシグナムならば考えられない慟哭だった。しかし、シグナムと言えども今の激動を抑えられなかった。いや、シグナムだからこそ、炎を冠する烈火の将だからこそ、というべきだろうか。もしも、この場にシャマルがいて、同様の感情を受け取っていたならば、泣き崩れていたのかもしれない。いや、今は姿こそ見えないが、もしかしたら泣き崩れているかもしれない。なにせ、尽きることがない、一生という概念さえ曖昧な、永久を共にするはずだった仲間を失ったのだから、彼女たちの慟哭も無理もないことだった。

 先ほどの結界の破壊のために抜刀していたレヴァンティンを構えたままシグナムは得意の接近戦に持ち込もうとしていた。もはや、目の前の女性が尋常でない魔力を持っていることなどシグナムの考慮の中に入っていなかった。ただただ、目の前の女性を倒すという一念に注力していた。しかし、それでも数十年、いや、数百年に至る戦闘の経験は、今のシグナムの状態でも彼女自身を裏切らなかったのだろう。躊躇なくシグナムは、最初の一刀にすべてをかけていた。レヴァンティンの特徴であるカートリッジシステムを限界までロードしながら、己の持つ最大の魔力まで練り上げる。カシャン、カシャンと薬莢を排出する音を上げながらカートリッジが排出され、圧縮された魔力がシグナムに流れ込んでくる。ともすれば、体が悲鳴を上げそうな魔力がシグナムを包む。

 過去の経験からわかっていたのだ。持久戦は敗北しかなく、勝機を見いだせるとすれば、それは最初の一撃以外にはありえないということを。だからこそ、最初の一撃から全力全開。次のことなど考えない。そ
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