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リリカルってなんですか?
A's編
第三十話 裏 後 (シグナム、アリサ)
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 闇の書を護る守護騎士であるヴォルケンリッタ―が将であるシグナムが人で言うところの嫌な予感を感じたのは偶然なのだろうか。いや、それはありえないと思う。なぜなら、シグナムとほかの守護騎士は闇の書という大本のシステムを介して繋がっているのだから。どこか、何かを失いそうな、失っているようなそんな感情が嫌な予感として現れていた。さらに、今の八神家にはヴィータが欠けていることがその核心に拍車をかけていた。いつもなら帰ってきている時間なのに。

 だから、シグナムは八神家にいた全員に声をかけ、主に許しをもらって外に飛び出した。もちろん、主である八神はやてには本当のことは言っていない。彼女が本当のことを知ればおそらく悲しむだろうから。ヴィータがいない理由も、何かを失いそうになっているということも、二重の意味で。だから、今は遊びに行って道に迷ったヴィータを迎えに行くという理由で、彼らは八神家から飛び出していた。

 ヴィータの場所を探ることは難しくなかった。なぜなら、遠く遠く離れているはずなのにシグナムがびりびりと肌で感じるほどの魔力の波動を感じるからだ。明らかに相手はヴォルケンリッタ―たちの魔力をはるかに超越している。しかし、仲間の一人であるヴィータが対峙しており、消えそうな、心が折れそうなほどの感情を伴っているとすれば、そこ以外にはありえなかった。そして、彼らの中にヴィータを見捨てるという選択肢はなかった。昔の感情などというものを捨て去っていた過去ならまだしも、八神家で人の感情を思い出した彼らは、ヴィータという妹分が欠けることをよしとしなかった。

 ヴィータを助け出したら、即時撤退。それを基本方針として、ヴォルケンリッタ―たちは最愛の主から頂戴した騎士甲冑を身に纏い、ランク付けなどできるはずもない魔力を発する現場へと向かった。

 その現場は少し山間にある公園だ。主が車椅子であるため勾配のある場所はあまり来ないので、ここに公園があること自体は初めて知った。しかし、そんなことはどうでもよかった。今、問題なのは、ここから尋常ではない魔力と一緒に弱々しい妹分であるヴィータの魔力を感じることである。

 すぐにでも突入しようと思ったが、忌々しいことに簡単ながら結界が張ってある。構造そのものは簡単だが、魔力にものを言わせた結界。しかも、その向こう側に得体の知れない存在がいる。準備して突入することになんら躊躇することはなかった。

「レヴァンティンっ!」

『ja!』

 シグナムの声に愛機であるレヴァンティンは応える。顕現するのは片刃の西洋剣。レヴァンティンに自らの属性でもある『烈火』を纏わせ、シグナムは吼える。

「はぁぁぁぁぁっ! 紫電一閃っ!!」

 裂帛の気合とシグナムが練れる最大限の魔力を乗せ、レヴァンティンの能力に
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