A's編
第三十話 裏 中 (ヴィータ、レイジングハート)
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レイジングハートは、主の叫びに応え、JSシステムにおいてジュエルシードを十五個起動していた。これは、レイジングハートが内蔵している二十というジュエルシードのうち、JSシステムとして起動できる最大数である。これ以上は、起動させて意味がないし、制御できる自信はない。なにより、もはやこれ以上の連結は意味がない。現状でも次元世界の一つぐらいは圧殺できるほどの魔力をレイジングハートのマスターは操れるのだから。
そのJSシステムを起動させているバックグラウンドでレイジングハートは残り五つのジュエルシードの助けを借りながら、ロジックツリーを展開していた。議題は、その気になれば、誰にも負けないはずの主が傷を負ってしまったこと。いや、正確にはマスターが大切にしていたリボンを失う結果になってしまったのか。
そして、展開されたロジックツリーは一つの答えを導き出した。
すわなち、経験不足。
レイジングハートのマスターである高町なのはに足りないもの。それは圧倒的な実戦経験だ。今までは、遠距離で圧倒的な力をふるうだけでよかった。だが、目の前の敵はそうはいかなかった。経験を積んできた敵だ。それに対抗するには同等の経験が必要だった。だが、経験とは今すぐに得られるものではない。
だから、レイジングハートはデバイスとしてシステム的に考え、答えを導き出した。
―――ないのであれば、持ってくればいい。
至極簡単なことだった。確かに経験を得るのは大変だ。だが、経験とはそれを体験した記憶だ。記憶をもとにして、行動を決めることさえできれば問題ない。要するにマスターには戦いの記憶が少ないのだから。そして、最大の経験を持っている人物はおあつらえ向きのように目の前に存在しているではないか。
「レイジングハート、どうしたらいいかな?」
マスターの問い。それは、マスターが目的としていた自分と同様のことに至らしめるという目的を達した後のことを聞いているのだ。確かにマスターの目的は達しているのかもしれない。しかし、レイジングハートの目的は達成していない。だから、レイジングハートは答えた。
『Please rob her all』
「えっ……でも、いいのかな?」
どこか躊躇したような声。マスターはどこか弱気なところがある。だからこそ、自分がいる。そんなマスターを後押しするために。だから、レイジングハートは、マスターの問いかけに答えた。
『Of course. Are you satisfied?』
レイジングハートは知っている。マスターがあまりのあっけなさに満足していないことを。あんなに大切にしてたものをぼろぼろにされたのに、こんなにあっけなく相手がやられてしまったからだ。だからこそ、問う。そんなのでいいのか? と
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