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リリカルってなんですか?
A's編
第三十話 裏 中 (ヴィータ、レイジングハート)
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ているはずだった。しかし、それは成されなかった。

 なぜなら、突如として発生した少女の絶叫を中心とした魔力の奔流によって吹き飛ばされたからだ。

 今までとは比較にならないほどの魔力量。ヴィータと比較することがおこがましいほどの魔力。それが少女の叫びとともに渦巻き、逆巻き、竜巻のように荒ぶる。

「レイジングハートっ!!」

『All right! My master. JS system set up serial I to XV.』

 ぞくり、とヴィータは全身が粟立つのを感じた。気が遠くなるほど戦闘の経験を積んでいるヴィータだったが、これほどまでに目の前の存在に恐怖を覚えるのは初めてだった。いや、その前に目の前の少女は、本当に人間なのだろうか、と疑問を持ってしまうほどの恐怖だった。

 やがて、魔力の奔流の中から出てきたのは、先ほどまで少女だったとは到底思えないほどの女性だった。少女というよりも女性に近い。しかも、バリアジャケットは漆黒と真紅に支配された禍々しいもの。彼女の姿を目に入れた瞬間、ヴィータは瞬時に悟った。

 ―――ヤベェ、ヤベェよ。

 恐怖とかそれ以前の問題だった。ヴィータの長年の経験がアラートを鳴らす。警告を絶えず鳴らすが、目の前の存在から背を向けて逃げるのも不可能だと悟っていた。むしろ、背中を向けた瞬間にやられる、という確信がヴィータにはあった。

 だからこそ、目の前の少女―――女性からは目は逸らせない。しかし、それは女性の圧倒的な魔力を直視し続けるということだ。それはヴィータの心絶望に染めるには十分だった。立っているだけで戦意をへし折る存在。それが目の前の存在だった。

 がちがちと歯が鳴る。逃げたい、逃げたい、逃げ出したい。しかし、逃げられない。

 どうするべきか、生き残るにはどうするべるべきか? 今までの経験という経験から導き出そうとするが、そもそも、こんな圧倒的な存在と遭遇した経験がない。もしも、頼るべき仲間がいるなら話は別だが、今は一人だ。どうするべきか? 硬直しているヴィータに対して、目の前の女性はヴィータが答えを出すまで待ってくれるほど悠長な人物ではなかった。

「アクセルシュータ スターダストモード セットアップ」

 その瞬間、夕焼けだった空が世にも奇怪な桃色へと変化した。いや、それは女性の空だけだ。そう、空を埋め尽くすほどの魔力球。それが、桃色に変化した空の正体だった。ヴィータから見える空は夕焼けの紅が3、魔力球が7というところだろうか。一発一発の大きさは大したものではない。それらが空を埋め尽くすほどの数。しかも、魔力球の一発の魔力量も半端ではない。確かに、アクセルシュータ自体は初級魔法かもしれないが、空を埋め尽くすほどの数をそろえれば、面制圧が可能なほど
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