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リリカルってなんですか?
A's編
第三十話 裏 中 (ヴィータ、レイジングハート)
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 もう一度、ヴィータは誘導弾を展開する。しかし、これは急襲のためのものではない。少女が戦闘経験があまりないことを考慮した戦略だった。ヴィータは誘導弾を打ち出すと少女の周りを跳弾させるように操作した。そう、一つ一つの目的を明確化しないことで、少女の視点を奪った。少女の注意が自分から外れたことを確認して、ヴィータは公園の茂みの中に身を隠す。自らの小柄な身体を忌々しく思ったこともあるが、こういうときだけは役に立つ。

 茂みの中を移動しながらヴィータは急襲の時を待つ。茂みの中から少女の様子を窺えば、この期に及んでも彼女はどこか戸惑っているような、悩んでいるような、迷っているような感じだった。もしかしたら、彼女は心優しい少女なのかもしれない。ヴィータの主である八神はやてのように。

 一瞬浮かんだ考えをヴィータは頭の中から追い出す。そんなことを考えてしまえば、彼女を襲撃することに躊躇してしまうかもしれないからだ。少女の様子を滑稽だと思っているのに自分がそんなことに陥ってしまえば、それはそれであまりに滑稽だ。

 そして、その瞬間は訪れた。ヴィータが少女の死角に移動し、少女の意識が完全にヴィータから外れた一瞬が。その瞬間を見逃さず、ヴィータは茂みから飛び出す。少女から瞬時に見つからないように地面すれすれともいえる低空を飛びながら。急襲は成功のはずだった。気付かれないはずだった。だが、少女は気付いた。そして、それはおそらく反射的な行動だったのだろう。ヴィータの攻撃が確実にあたるとも当たらないともいえないタイミングで少女は後退した。

 ヴィータとしては一瞬、踏みとどまれば追撃できたかもしれない。しかし、少女の気付いたタイミングと後退するタイミングはあまりに絶妙で、ヴィータには攻撃の手を止めることはできなかった。結果、掬い上げるようなヴィータのグラーフアイゼンによる攻撃は不発。せいぜい、少女の髪に掠る程度、グラーフアイゼンの先端に少女のリボンをひっかける程度でしかなかった。

 そう、少なくともヴィータの認識はそれだった。それが、少女にとって計り知れないほどのダメージを与えたとも知らずに。

 攻撃を失敗したと思ったヴィータは追撃を加えようと後退した少女に対してさらに距離を詰めようと思ったが、その前に少女の様子がおかしいことに気付いた。目を見開いて明らかに驚愕しており、何かにひどく動揺しているように思える。なにより、彼女が見ているのは今にも襲おうとしている自分ではなく、ヴィータの後ろでひらひらと舞っているリボンのような気がする。

 だが、そんなことは気にしない。何より、自分に注意がそれている今がチャンスと思って、ヴィータは一気に決めるために距離を詰まるため、さらに地面を強く蹴る。何もなければ、次の瞬間にはヴィータの攻撃は少女に届い
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