A's編
第三十話 裏 中 (ヴィータ、レイジングハート)
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レイジングハートの言葉にやや考えたなのはは、ううん、と首を横に振った。
『Then, please move me close to her』
レイジングハートの言葉に従って、なのははレイジングハートを真紅だったバリアジャケットに包まれた少女に近づきた。彼女の姿はぼろぼろで瞳からは生気を感じない。それはレイジングハートにとっては都合のいいことだった。
少女に近づけられたレイジングハートは、己の内に眠っているジュエルシードを起動する。
もちろん、彼女の内にある経験をレイジングハートにインストールすためだ。そう、普通の人間であれば、脳にある記憶をコピーという形をとるだろう。だが、そこで予想外の事実が発覚した。目の前の少女は、人間ではないということだ。いうなれば、魔法によって精巧に作られた人形だ。
レイジングハートはこのことに歓喜した。なぜなら、普通の人間から記憶を奪うより数倍楽で、より一層の経験が得られるからだ。だから、レイジングハートは、表面層の記憶から読み取った少女の名前であるヴィータの中を進んでいく。進みながら、取捨選択を行い、レイジングハートにとって必要な記憶は自分の中に放り込み、それ以外はバックアップと同時にデリートする。どうせ、マスターに牙をむいた人間(?)なのだ。レイジングハートからしてみれば万死に値する。だが、彼女たちは死ぬことはない。だから、レイジングハートがリサイクルする。ただ、それだけだ。
少し魔法形態がベルカ式という古い形態だったが、それさえもレイジングハートにとっては問題ない。単純にコンパイルを行えばいいことだ。
本来なら、捨て置くであろう魔法人形ともいえるヴィータをコンパイルを行ってもレイジングハートが欲した理由は、前々から思っていたからだ。マスターを護る前衛が欲しいと。レイジングハートのマスターは、どちらかというと後衛だ。本来であれば、彼女を護るための前衛が必要なのだ。もっとも、それはレイジングハートが持つ魔力でねじ伏せてきたが。だが、これから必要になるかもしれない。だから、レイジングハートは、彼女を乗っ取ることにしたのだ。
ヴィータという少女の奥底に入っていくと、そこは暗い、暗い闇の中。ヴィータを構成する守護騎士システムという部分でさえ表面層にすぎなかったらしい。その奥にあるのは、レイジングハートからしても危険と思えるほどに禍々しいプログラムの闇だ。もっとも、さらにその奥に隠されているのは洗練された美しいともいえるものだったが。明らかに中間層にあるものと深層にあるものは、製作者が異なる。どうやら、守護騎士システムと深層の間に誰かが追加したものらしい。しかも、悪意を持って。
だが、レイジングハートにはあまり関係ない。今、必要なものは守護騎士システムとい
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