A's編
第三十話 裏 中 (ヴィータ、レイジングハート)
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女から魔力を蒐集しなければ意味がないのだから。だから、ヴィータは自慢の愛機であるグラーフアイゼンを肩に担ぐと騎士甲冑とはとてもいない―――しかし、敬愛する主が作った騎士甲冑の真紅のスカートを翻しながら空を跳んだ。
向かう先はもちろん、強大な魔力を持った人物の元。
その場所へは意外と短い時間で到着した。それもそうだろう。同じ海鳴市内を空を飛んで移動すれば、直線距離となり自然と時間は短くなる。その場所は、ヴィータはあまり知らない場所だった。しかし、そこに張られた結界だけはわかる。バカげた魔力で張られたつたない認識阻害魔法は。
この世界に魔法を使える人物がいたことは驚きだが、魔法の腕はそうでもないらしい。この認識阻害魔法を見て、ヴィータはそう思った。
魔法を使う上で魔力というのは重要な要素の一つではある。だが、それだけでは意味がない。その魔力に見合う魔法の技術が必要なのだ。例えるなら、今、この結界の中にいる人物はF1カーに初心者マークをつけて運転しているようなものだろうか。スピードはでるだろうが、それだけ。ヴィータからしてみれば、雑魚に違いなかった。
だが、それでも油断はできない。魔力が大きいということは、初級の魔法でも喰らってしまえば、大ダメージになってしまうのだから。だから、ヴィータが狙うのは、結界を破壊後の一撃必殺だ。もちろん、ガチンコでも負ける気はしないが、抵抗されるのは面倒だった。それに何より先手必勝、一撃必殺はヴォルケンリッタ―で切り込み隊長を担うヴィータがふさわしいと思っていた。
「いくぜ、グラーフアイゼンっ!」
『ja!』
真紅の守護騎士は、愛機に呼びかけ、愛機は主に応える。
それが、襲撃の狼煙だった。
もともと、張られていた結界は強いものではない。おそらく、魔導士の襲撃を考えていなかったのだろう。単純に魔力を持たないものの認識を阻害する程度の結界だった。誰も近づかない、なんとなく近づきたくない、と思わせるような魔法だ。だから、一部分にしても破壊は容易だった。
グラーフアイゼンの一振り。ただそれだけで、結界の一部の破壊に成功していた。
結界内部に突入したヴィータが見たのは、結界の中心で魔法の練習をしている一人の少女。その姿が、彼女が護ろうとしている主とほとんど同じような年齢であることに対して攻撃の手を躊躇するが、それも一瞬だ。己がやらなければならないことを再認識して、ヴィータはが得意とする唯一の遠距離魔法と言ってもいい誘導弾を準備する。
「シュワルベフリーゲンっ!」
グラーフアイゼンで打ち出された鉄球は、ゲートボールで打ち出された玉のようにまっすぐではなく打ち出したヴィータの意志の通りに無警戒の少女へと向かって一直線に向かい――――無警戒だった
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