A's編
第三十話 裏 前 (クロノ、なのは)
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ぐ向かってくるだけの魔法ではなかったのだろう。誘導弾の名前に偽ることなく、なのはのプロテクションにさえぎられる前に方向を変え、回り込むようになのはを襲う。本当ならなのはも全方位型の防御魔法を使えればよかったのだが、ほとんどをバリアジャケットで防いできたなのははシールドのようなプロテクションは展開できても全方位型の防御魔法は展開できなかった。
なにより、なのはがこの状況にいまだに戸惑っていることが災いした。
確かになのはは、今まで魔法を使った戦いを経験してきた。だが、それらはすべてジュエルシードの暴走体や翔太を狙ったフェイト、プレシア、テロリストなどだ。つまり、なのはの戦いにおいてはすべて間接的に翔太が関係しており、なのはが単独で戦ったことはなかった。だからこそ、今の状況に戸惑っているのだ。なのはだけが狙われたこの状況に。
しかし、だんだんとその混乱も収まってくる。襲ってくるのだから問答無用で倒してしまっても問題はないはずだ。だが、それでもなのはの中にあるある思いがそれを思いとどめていた。
―――ショウくんだったら……話を聞くのかな?
なのはの友達である翔太であれば、突然襲ってきた相手に会ったらどうするだろうか? そう、今の状況のように赤子の手をひねるように容易に押さえつけられる場合だ。その場合、翔太ならばおそらく相手を止めて話を聞こうとするだろう。少なくとも問答無用でたたき伏せるようなことはしないはずだ。
そもそも、なのはが翔太にあこがれたのは、蔵元翔太がなのはにとって理想ともいえる『いい子』だったからだ。その羨望は、彼に近づけて、友達になったと自負した今でも変わらない。そして、羨望は模倣を誘発する。つまり、翔太のようにふるまえば、翔太のようないい子になれるかな? という考えがなのはの中に思い浮かんだ。
―――あれ? あの子は……?
赤い少女から話を聞こうとしたなのはだったが、気付いた時には彼女の姿は消えていた。ただなのはの周りには変わらず誘導弾が走っており、時折ピンボールのようになのはに弾かれるためのようにプロテクションに突っ込んでくる誘導弾があることを考えれば、この近くにいることは間違いないだろう。
どこに行ったのだろう? と周囲を見渡すが、少女の姿は見えない。なのはが襲われた場所が自然公園であることも災いした。茂みなど隠れる場所はどこにでもあるからだ。近くにいることはわかるのだが、どこにいるのか分からない。なのはの兄である恭也であれば彼女の気配などすぐに探れるだろうが、なのはには無理な話だった。
それに魔力を探知しようにも赤い少女が放った誘導弾がそれを邪魔する。縦横無尽に駆け回る誘導弾が彼女の魔力を発しており、チャフのような役割を果たしているのだ。
この状況でもなの
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