A's編
第三十話 裏 前 (クロノ、なのは)
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はが考えている時間はなかった。なぜなら、彼女がなのはの視界の端に映った時には既に彼女は吼えていたから。
「テートリヒ・シュラークっ!!」
振り上げたハンマーがなのはに向かって振り下ろされる。なのはがハンマーに向かって防御ができたのは日々の訓練のたまものであろう。少女の小さな体躯のどこからひねり出されたのだろうか? と疑問を持つほどの威力だったとはいえ、やはりなのはにとっては全く問題がなかった。防御は、特になのはが力を入れている魔法だ。そもそも、練度が異なる。レイジングハートとなのはによって改良を重ねられたプロテクションは、通常の魔導士であればあっさりと破壊されていたであろう威力のハンマーを軽く受け止めるだけの力を持っていた。
「なっ!?」
なのはの反応は少女にとっても予想外だったのだろう。振り下ろしたハンマーを意に介さないなのはの様子を見て驚きの表情を浮かべた少女は、すぐさま攻撃を中断して後ろへと後退した。おそらく、戦い慣れているのだろう。不意打ちをあっさりと受け止めたなのはの実力を推し量って距離を取ったのだろう。
「……テメェ、あたしのテートリヒ・シュラークを受け止めるなんて、何者だ?」
少女の問いになのはは何と答えていいのかわからなかった。なのはの所属を言えば聖祥大学付属小学校三年生だが、彼女が求めている答えはそんなものではないことは明白だからだ。だから、なのはが正体不明の彼女に対してどのように答えようか、と考えていたのだが、その前に相手のほうがしびれを切らしたようだった。
手に持っている不釣り合いなハンマーを肩に担いで、彼女は諦めたようにため息を吐いた。
「まあ、テメェの正体なんてどうでもいい。あたしの目的はたった一つだ」
すぅ、と肩に担いでいたハンマーを狙いを定めたようになのはに向ける。まっすぐと切っ先を向けられてなのはは少しだけ退いた。その様子を気圧されたとでも彼女は思ったのだろうか、野生の獣ような笑みを浮かべて彼女は彼女の目的を口にする。
「テメェの魔力―――いただくぜっ!!」
彼女の宣言が第二幕の始まりだった。
やはり最初の一撃は彼女からだった。彼女が自分の目の前に展開したのは四つの誘導弾だ。スーパーボールよりも一回り大きな鉄球を彼女は目の前に並べる。それらがすべて浮かんでいるのは魔法の力だろう。
「シュワルベフリーゲンっ!」
それが魔法のトリガーワードだったのだろう。同時にゲートボールのように誘導弾を打ち付ける。ハンマーによって力を与えられた誘導弾は先ほどなのはを襲った誘導弾のようにまっすぐなのはに向かって襲ってきた。
未だに状況についていけないなのはは、とりあえず身を守るためにプロテクションを展開した。
四つの誘導弾は、まっす
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