A's編
第三十話 裏 前 (クロノ、なのは)
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が一がある。最後までこの作戦に関わるためには、ユーノが調べ物を終える時間を管理局から目をつけられない程度に作戦を進めるという綱渡りのような行動が必要だった。
しかし、その行動が今、崩れようとしている。やはり魔法動物からは採取の効率が悪い。だからといって、人からというのは言語道断だ。ならば、あとはもっと質が高い魔法生物から搾取するしかないのだが、戦力が足りない。防衛と搾取するまで攻撃する部隊。今の作戦でもぎりぎりの人員なのにこれ以上の無理ができるわけがない。
少なくともクロノはそう考えていた。―――なのはから一言があるまでは。
「ねえ、全然進んでないように見えるけど?」
突然、話しかけられてクロノは驚いた。クロノとなのはが話すことはあまりない。作戦の前に注意事項を幾つか述べるときぐらいだ。あとは、作戦の間は離れていることが多いため、必然的に会話は少なくなる。
いや、そんなことはどうでもいい。今は、それよりも彼女の言葉の真意を探るほうが先だ。いや、探らずとも一目瞭然ではないか。今、クロノが手にしているのは魔力の採取を終えた闇の書。闇の書は採取した魔力量によってページに文字を印字していく。クロノには古代文字は読めないから何が書いてあるかわからないが。
なのははもしかしたら、採取している間にずっと見ていたのかもしれない。それで文字が増えないことに疑問を持ったのだろう。
「ああ、この魔法生物たちではこんなもんだよ。大丈夫、このまま続けていけば終わるから」
本当はかなり期間的にはピンチだ。だが、そんなことを本来は関係ないはずの少女に言えるはずがなかった。見栄なのかもしれない、もしかしたら、彼女よりも年上であることの意地かもしれなかった。だが、どちらにしても、この少女に泣き言や愚痴を言うわけにはいかなかった。
「……もっと強いやつから採ればいいのに」
「無理だよ。今の人員じゃけが人が出て作戦が回らなくなる。それに君への負担も―――」
「それなら大丈夫だよ」
「しかし……」
「大丈夫」
断言するなのは。その瞳はぶれていない。確かな自信と確信がある意志のある瞳だった。確かに彼女は民間協力者だ。これ以上の負担は申し訳ない、かけたくない、と思う一方で、彼女の申し出をありがたいと思っている自分がいることに嫌気がする。もしも、自分がもっと強ければ彼女にそんなことを言わせることはなかったのに。
おそらく、ここでクロノが拒否しても彼女は何度も訴えるだろう。その裏にどんな感情があるかクロノにはわからないが。ならば、クロノにできることはせいぜい彼女が無茶しないように見守り、全力で守ることだけだ。
―――そう思っていた時期もあった。
ギャア、ギャアと特有の声で鳴く竜の声がク
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