A's編
第三十話 裏 前 (クロノ、なのは)
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クロノ・ハラオウンは幾度目かになる現状を理解できなかった。いや、理解したくなかったというべきだろう。何度も見ているが、理解したくないし、見慣れることもないだろう。いや、こんな光景を見ることがそう何度もあってたまるか。クロノ以外の護衛―――はたして必要があるのか甚だ疑問である―――の武装局員もそう思っているだろう。
そんなことをクロノが考えているとはつゆ知らず円陣の真ん中で守られるように佇む少女が一人。集中しているのか少女―――高町なのはは、ピクリとも動かず純白のバリアジャケットを身にまとって桃色のデバイス―――レイジングハートを握っていた。
場所は、とある管理外世界。いや、正確には時空管理局が管理できない世界だ。その世界は、人が管理できるような世界ではなかった。なぜなら、その世界の支配者は人ではなく竜だったからだ。
なのはたちの世界では、幻想上の動物ともいえる竜。その存在を時空管理局は確認していた。場所によっては竜を神として祭っている部族もいるぐらいだ。さらに、魔法によって使い魔としての契約を結び、召喚する魔導士もいる。だが、そんなことができるのは、ある一定以上の知性をもった竜だけだ。残念ながら、管理ができないと判断されたこの世界の竜は、おちついて契約ができるほどおとなしい竜ではなく、また話し合いができるほどの知性も持っていなかった。さらに悪いことに人の三倍はあろうかという体躯で空を自在に飛ぶために進化したのだろう。内包している魔力は、ランクで言えば魔力ランクSを平均で持っている。つまり、弱肉強食を体現している世界で、普通の人間が太刀打ちできるはずもないのだ。
見捨てられた世界―――『ロスト・ワールド』がその世界の名前だった。
だが、だからこそ、今回のクロノの任務にはふさわしい。今、クロノの手元にある史上最悪のロストロギアである闇の書。その書に魔力を集めるための任務。最初は、かなり低レベルの世界で魔法動物から採取していたのだが、一体から採取できる魔力の効率が悪く遅々として進まなかった。
『質より量』という作戦が取れれば何も問題はなかったのだが、魔法動物たちも自分たちが襲われるのだから必死で抵抗する。中には、魔力的には低くても、肉体的に強かったりして、それがさらに効率を悪くしていた。途中から最強の剣ともいえるなのはが参戦したが、それでも一匹当たりの量が低くて、しかも、なのはが参戦している時間も短く、やはり計画は進まなかった。
どうしよう? と悩んでいたクロノ。もちろん、彼からしてみれば、ユーノ・スクライアに依頼している調べ物をする時間ができるため幸いともいえるのだが、作戦が進んでいなければ時空管理局側から文句を言われるのは間違いない。この段階まできて指揮官を交代するとは考えられないが、それでも万
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