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リリカルってなんですか?
A's編
第三十話
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ている。S2Uという高性能なデバイスのおかげで僕の魔法はパワーアップしている。展開速度、強度、数のどれをとってもだ。だからこそ、こちらに向かって襲いかかってこようとしている彼らに合わせてチェーンバインドを展開することができた。

 残念ながら、その結果を見届けるようなことはなかった。僕は魔法を発動させた直後に背後のはやてちゃんを背負って、誰もいない背後に向かって駆け出したからだ。その先は窓を隔ててテラスが見えていた。しかし、悠長に窓を開けているような余裕は僕たちには残されていなかった。

 そのまま、スピードを落とさずに僕は窓に向かって突撃する。背後から、ちょっ! ショウくんっ!? と慌てるような声が聞こえたような気がしたが、気にしない。なにより、ここは結界の中で何が起こっても現実世界には影響を与えない。それにバリアジャケットに包まれている僕とフィジカルシールドで包んでいるはやてちゃんは、ガラスで怪我をすることもない。だからこそできる力技だ。

 窓をけ破って外に出る僕。だが、それ以上に対抗手段は見つからなかった。とりあえず、狭い室内では何もできないと考え、外に出たのだが、それ以上に僕にとれる手は実は何もない。結界を張っている魔導士を倒せば、この空間からは出られるかもしれないが、僕には魔導士がどこにいるかすらわからない。

 テラスに出て、そこに置いてある白いテーブルとイスがある場所まで出てきたのだが、これ以上何もできることがないのが現状だ。どうやら結界は八神家を包み込んでいるだけらしく、その境界線の外に出ることは僕の力技では到底無理だった。

「やれやれ、子どもと思って油断したか」

 ポリポリと頭を掻きながら男が出てくる。そのあとにぞろぞろとついてくる五人。どうやら、僕のチェーンバインドは時間稼ぎにもならなかったようだ。一応、僕の最大限の魔力を込めたもので、ある程度の人だったらかなり足止めできるとクロノさんにはお墨付きをもらっているのだが。

 つまり、彼らは『ある程度』では収まらないほどの実力者ということである。

「小僧、今度はもう逃げられないだろう? だから、最後にいうぜ。そっちの嬢ちゃん―――闇の書の主を渡しな」

「もう一度聞かれても答えは一緒です」

「わからねぇな。小僧も知ってるんだろう? 後ろの、お前さんが守っている嬢ちゃんが、破壊と殺戮を繰り返す闇の書の主だって」

 本当にわからないというような表情で男は言う。その表情は心底わからないと本気で悩んでいるようだった。

「ここにいる全員が、闇の書にかかわった連中だ。俺だって、前回の闇の書に親父とおふくろと妹を殺されたさ。幸いにして、今回はまだ動いていないみたいだが、いつ俺たちみたいなやつらを生むかわからない。だから、先に手を打つのさ」


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